マーク・コーンとブラインド・ボーイズ・オヴ・アラバーマの共演盤がいい
https://open.spotify.com/album/5Cp0uOeUGaNgGuT0fPlgko?si=JDm__PnHSwSaalcVtm3Pkw
なにものだかぼくはよく知らないマーク・コーン。今2019年にブラインド・ボーイズ・オヴ・アラバーマとの共演盤がリリースされたことを、萩原健太さんに教えていただきました。
https://kenta45rpm.com/2019/08/14/work-to-do-marc-cohn-blind-boys-of-alabama-bmg/
今年リリースされたマーク・コーンとブラインド・ボーイズ・オヴ・アラバーマの共演盤『ワーク・トゥ・ドゥー』(2019.8.9)。後者はもちろん名門ゴスペル・ヴォーカル・グループですが、前者はどうやらシンガー・ソングライターみたいです。知らなかったんですけど、かじってみたところ、ちょっとポール・サイモンと共通するようなスピリチュアルな持ち味の、やはり同様に黒人音楽やゴスペル・ミュージックに通じたひとなのかもしれません。まだちゃんと聴いたとは言えませんが。
ともあれ新作『ワーク・トゥ・ドゥー』がかなりよかったんですよね。マーク・コーンとブラインド・ボーイズ・オヴ・アラバーマの全面共演が実現したいきさつについては、上でリンクした健太さんのブログにくわしく書かれていますのでお読みください。『ワーク・トゥ・ドゥー』では冒頭三曲がスタジオ録音の新作で、残り七曲がテレビ・ライヴ音源です。
ぼくの胸を打ったのは、もう断然ライヴ収録分ですね。七曲のうち、ゴスペル・スタンダードみたいなのは「アメイジング・グレイス」(ここでは「朝日のあたる家」のメロディで歌われる)だけで、ほかはすべてマーク・コーンの自作ナンバーです。それが実にスピリチュアルな感触で、いいですよねえ。ゴスペル・ソング的と言ってもいいくらいです。
マーク・コーンというシンガー・ソングライターは、ふだんは特にゴスペルとは関係ない世界でやっているひとだと思うんですけど、あ、いや、よく知らないですけど、たぶん。しかも『ワーク・トゥ・ドゥー』に収録されているものは、ブラインド・ボーイズ・オヴ・アラバーマとの共演による最新の再演であるとはいえ、曲じたいは以前からの旧作レパートリーばかりです。
それがここまでゴスペル・ソングっぽく聴こえるというのは、もちろんこのベテラン・ゴスペル・グループのコーラス(&リード)・ワークのたまものでありますけど、曲そのものにそうなりうる可能性がもともとひそんでいたからだと考えるべきでしょうね。1991年デビューらしいマーク・コーンなので、もっと早くチェックしておくべきでした。
デビューといえば、今回再演されている「ゴースト・トレイン」「ウォーキング・イン・メンフィス」はその1991年のマークのデビュー作が初お目見えだったようです。ここでのブラインド・ボーイズ・オヴ・アラバーマとの共演ヴァージョンのすばらしさといったら、格別ですよねえ。バンドも見事な演奏ですけど、なんといってもリードのマークとバックのコーラス隊のやりとりがすばらしいです。鳥肌ものですよ。
特にマーク・コーンのシグネチャー・ソングらしい「ウォーキング・イン・メンフィス」が、このライヴの目玉でしょうね。南部ブルーズやエルヴィス・プレスリーなどを歌い込んだ、マークなりの黒人音楽トリビュート・ソング。それがブラインド・ボーイズ・オヴ・アラバーマの手を借りて、ここまで荘厳なゴスペル・ソングに変貌しました。もとからスピリチュアルな感触を持った曲だったのですが、このライヴ・ヴァージョンは本当にスペシャルです。
(wrtten 2019.8.28)
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