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2019/09/05

カイピーラ・ギターのネイマール・ジアスによるグッド・イージー・ミュージック

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https://open.spotify.com/album/39TPjPHhvOxgcIh6E7U0dM?si=EenqwlvVS1WKVyc4uW3DTA

 

ネイマール・ジアス(Neymar Dias、ブラジル)というひとはアンドレ・メマーリ・トリオのベーシストらしいんですけど、アンドレ・メマーリに興味のうすいぼくは、ネイマール自身の今回の新作アルバム『Minhas Cançōes Instrumentais』(2019.7.25)ではじめて知りました。しかも弾いているのはベースではなくカイピーラ・ギター。カイピーラ・ギター(ヴィオーラ・カイピーラ)とはブラジルの楽器で、複弦5コースの鉄弦を張ったアクースティック・ギターです。

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このネイマールの『ミーニャス・カンソイス・インストルメンタイス』、文句なしに心地いいなあと感じました。収録の全11曲はすべてネイマールの自作ナンバーみたいです。演奏の編成はカイピーラ・ギター(ネイマール)、ベース(イゴール・ピメンタ)、鍵盤(アジェノール・ジ・ロレンジ)、打楽器(ガブリエル・アルテリオ)のカルテット。クラシックなのかポップなのかムジカ・カイピーラなのかよくわからないとディスクユニオンの紹介サイトに書かれていますが、ぼくの耳には極上のポップ・ミュージック、それもイージー・リスニングに聴こえます。

 

ぼくが使うと褒めことばであるイージー・リスニングっていうこの言いかたがもし悪ければ、トラヴェル・ミュージックでもいいんですけど、ちょうどこう、テレビの旅番組かなにかのバックでよく流れている心地いい流麗な音楽があるでしょう、そういったものにこのネイマールの『ミーニャス・カンソイス・インストルメンタイス』はかなり近い肌触りがあるなと思いますよ、ぼくが聴くところではですね。

 

アルバム1曲目の「ラ・ヴァルス」はちょっとクラシックの室内楽ふうなんですけど、また6曲目の「バロッカ」も曲題どおりバロック音楽にやや近いかな(ネイマールの前作はバッハ集らしい)、9曲目「ソベラーナ」もバロック音楽ふう、それからラストの「プレリュード第一番」もちょっとクラシカル、しかしそれら四曲でもネイマールの書いた旋律はキュートで愛らしく、やさしくほほえみかけているかのよう。そう、楽曲のメロディじたいがチャーミングで可愛いというのは、『ミーニャ・カンソイス・インストルメンタイス』全体で一貫していることなんです。

 

だから軽いビートが効いてポップ・ミュージックに寄っていっているようなものだと本当に快適で、たとえばちょっぴり北東部っぽいエキゾティックなアフロ・リズムを持つ3曲目「ジポイス・ダ・セーラ」なんかもおもしろいし、リズムの快活さという点では10曲目「シーガ」がかなりファンキーで楽しいです(二曲ともリズム・セクションがいい演奏)。ぼく的には10曲目がこのアルバムでいちばんグッと来るものですね。ドラマーの演奏も見事、それに乗るギターとピアノのソロもノリよく極上です。ちょっぴりアメリカ合衆国のフュージョン・ミュージックっぽいかもと聴こえ、それもぼくにはグッド。

 

4曲目「アゴラ・エ・アシン」や5曲目「ケン・ジーシ?」、また7曲目「ノーヴァ 7」といったチャーミングな小品でも、曲づくりの細部まで練りこまれているし、ちょっぴりクラシカル?と匂わせながらも、かわいらしくポップに漂うこのキュートなビートが気持ちいいですねえ。それにくわえ上でも書きましたが、ネイマールの曲はメロディがきれいでかわいくて、しかも聴いていて心地よく快適にリラックスできるフィーリングがあります。これらポップ寄りの曲ではしばしばオルガンが使われていますね。サウンド・エフェクト的にちょっぴりだけシンセサイザーも。

 

実際、列車の旅なんかでシートにすわりながら車窓から外の風景を眺めつつ、こんな音楽を耳に入れていれば、格別の極楽気分になれるだろうっていう、そんなネイマール・ジアスの『ミーニャス・カンソイス・インストルメンタイス』、まあやっぱり半分くらいの成分がクラシック音楽かなとも思いますけど、ポップ・サイドからじゅうぶん聴ける、静かで落ち着いた美しい極上のリラクシング・インストルメンタル・ミュージックです。

 

(written 2019.9.4)

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