ボサ・ノーヴァっぽいクラウジオ・ジョルジ 70
https://open.spotify.com/album/0s0snGDig75H8zoIDLoQGU?si=DD9jIWwARjKxJZ3JkjH5VQ
bunboni さんに教わりました。
https://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2019-09-02
70歳記念のクラウジオ・ジョルジ(ブラジル)の『サンバ・ジャズ、ジ・ライス』(2019)。これってボサ・ノーヴァ・アルバムですよね。伝統的サンビスタであるクラウジオがサンバとジャズとの融合みたいなことを試みて、結果、ボサ・ノーヴァっぽい音楽に仕上がったと、そういうことじゃないかと思うんです。っていうか、理屈じゃなく素直にそのまま音楽に耳を傾ければ、クラウジオがどういう音楽家なのか知らなければ知らないほど、このアルバムの音楽はボサ・ノーヴァに聴こえるはず。
ボサ・ノーヴァというか MPB っぽくもあるんですけど、音楽性の根っこに伝統サンバを持ちながらもこういった現代性、ポップネスをも兼ね備えたサンビスタってなかなか得がたい人材ですよね。昨日書いた2001年の『コイザ・ジ・シェフィ』は伝統サンバをそのままやって、その上にモダンでポップな MPB 色を加味したような作品でしたが、今年の『サンバ・ジャズ、ジ・ライス』は1曲目の出だしを聴くだけで、あっ、ボサ・ノーヴァだなとわかります。
いちばんボサ・ノーヴァっぽいなと感じるのは三点。ギターのリズム・カッティング、ドラマーの叩きかた、特にリム・ショットの入れかた、クラウジオの書いたメロディの動きです。どれをとってもサンバのそれじゃない、というか根底にそれがあっても現代的で、これはほぼボサ・ノーヴァになっているんじゃないでしょうか。楽器編成でジャズ・バンドのそれを模したということとも関係あるかも。
もとからポップなソングライティング資質とヴォーカル資質を持つみたいなクラウジオですけど、このアルバムでの、特に曲づくりには、たとえばアントニオ・カルロス・ジョビンを彷彿させる部分が随所にありますよ。半音で動いてヒョイっと飛躍したりするあたりとかですね、「デザフィナード」をジョアン・ジルベルトが歌うのを聴いているような感じがします。
ジョアンといえばですね、このアルバムでのアクースティック・ギターの刻みもジョアンのスタイルに似ていますよね。あの独特のリズム感にクラウジオ自身が寄せてきているんじゃないかとすら思えます。ジョアンを意識したというよりジャズっぽくサンバをやろうとしたその結果としてそうなったということかもしれません。
全体的にサンバの土着性みたいなものがうすく、都会的でおしゃれな音楽に仕上がっているこのクラウジオの『サンバ・ジャズ、ジ・ライス』、やっぱり土台に伝統サンバがあるひとなんだなとは聴けば納得なんですけど、仕上がりはボサ・ノーヴァ/MPB 色の濃いモダンな音楽になっているなと思います。3曲目とか4曲目、8曲目なんか、マジでジョビンの曲を聴いている気分なんですけどね。
(written 2019.9.11)
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