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2019/10/06

ニュー・ソウルへのサザン・ソウル側からの回答 〜 1972年のアル・グリーン

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https://open.spotify.com/album/58eMx3QrTkiRmGGbSz2XL0?si=CdR3DTdiRiSbAyeQic1TJQ

 

『レッツ・ステイ・トゥゲザー』ってそういうものかもしれないなって、最近思うことがあります。アル・グリーンのこの名盤は1972年の作品ですし、72年といえばニュー・ソウル最盛期じゃないですか。戦争や差別などを扱った社会派でシリアスな歌詞を、ふわっとやわらかい快適なサウンドに乗せたようなサウンドで、曲も自分で書き、さらにその音楽もソウル・マンが自己管理しセルフ・プロデュースするようになっていた時代に、メンフィスのハイのアル・グリーンらは一種の回答のようなものを出していたと言えるような気がします。

 

『レッツ・ステイ・トゥゲザー』にしても、サウンドやリズムは黄金のハイのそれですけど、歌詞は全編恋愛だけを扱っていますよね。こういった、ニュー・ソウルとは正反対ふうな、社会的に拡散しないかのように一見思えてしまう、パーソナル・アフェアだけをこうやって綴っていくのは、しかし実は普遍的な人間性を獲得しているのかもしれないです。

 

アルのアルバム『レッツ・ステイ・トゥゲザー』だと、1曲目のタイトル・ナンバーが必殺で、それだけですべてが決まってしまいますが、個人的にかなり好きなのが7曲目の「ハウ・キャン・ユー・メンド・ア・ブロークン・ハート」です。おなじみビー・ジーズの曲ですね。そのカヴァーですけど、ここでのアルのヴァージョンはオリジナルとはぜんぜん違います。

 

アルやウィリー・ミッチェルらは、このラヴ・バラードをも三連のサザン・ソウルに仕立てているんですね。このリズムとやわらかいサウンドがたまらなく心地いいですよねえ。曲題どおりそっとやさしくなぐさめているようなそんなソウル・フィールの上に、これまた抑制の効いたアルの羽毛のようなヴォーカルが乗って、えもいわれぬ快感じゃないですか。

 

このカヴァー・ソング以外はこのアルバムのためのオリジナルなんで、カヴァー・ソングでかえってウィリー・ミッチェルやアル・グリーンらハイ・サウンドの特色、特長が目立っているなと思うんですね。こんなヴェルヴェットのような肌ざわりのよい音楽って、なかなかないでですよねえ。デリケートにデリケートに、傷ついた心をソフト・タッチで撫でてくれるような心地がします。

 

こんなようなデリケートな音楽の組み立ては、1970年代前半当時のアメリカのソウル・ミュージックの世界では、アル・グリーンとハイのサウンド・メイカーたちが群を抜いてすばらしかったかもと思うんですね。だから、そのころ台頭していたニュー・ソウル連中に対しメンフィスのみんなは、こんな音楽の創りかただってありますよ、とちょっとした対抗意識があったかもしれないなあって感じることがあるんです。

 

(written 2019.9.1)

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