アクースティック・ビートルズ・セレクション
https://open.spotify.com/playlist/6TSkSbbLFDuRORn5EHqpwU?si=Kp772WkBR5-DsoOzorsFmw
ロック界においてアクースティック・サウンド(電気増幅しない生楽器演奏だけの音)がちょっと特別なものとして注目されるようになったのは、たぶん1990年代の例のアンプラグド・ブームからですよね。MTV の企画番組。テレビ放映され、DVD や CD も作成発売されるのが通例となりました。エリック・クラプトンのやつ(1993)が大ヒットして以後ですかね、人気拡大となったのは。
ロック・ミュージックはエレキ・ギターの台頭とともにジャンルそのものが成立したような面がありますので、だからアクースティック(・ギター)・サウンドがややフレッシュに、いつもとはちょっと違った感じに響くというようなことがあるんでしょう。ビートルズのばあいは、しかしけっこうたくさんのアクースティック・ナンバーがありましたよね。
そんなビートルズのアクースティック・セレクションのことは、これまた以前このブログで書きました。
https://hisashitoshima.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/post-92e3.html
昨日の『アンソロジー』記事同様、今日のこの文章も、そのプレイリストを Spotify でつくりましたのでみなさんどうぞ聴いてね、というだけの意味しかありません。でもなかなか大きなことでしょ、聴けるか聴けないかはね。昨日の『アンソロジー』セレクションと違って、今日のアクースティック・セレクションは、ぼくの iTunes にあるのと100%同一です。
でも iTunes 内プレイリストは最近つくりなおしたんですよ。昨2018年暮れに『ワイト・アルバム』の50周年記念ボックスが出たでしょ、あれにイーシャー・デモがありました。CD ならまるまる一枚分になるイーシャー・デモはオール・アクースティックで、エレベも、それからドラムスも使われていません。複数台のアクギとヴォーカルと手拍子と簡易打楽器だけ。それで『ワイト・アルバム』の曲を中心にたくさんやっているですね。ぼくはけっこう好きなんです。
イーシャー・デモからは、しかし二曲しか選びませんでした。やっぱりくりかえしじっくり聴きこむと、完成品のほうが出来がいいんです。だからイーシャー・デモからは、これはとってもおもしろい、どうしても入れておきたいというものだけにしました。また、数年前に iTunes のプレイリストとしてアクースティック・ビートルズ・セレクションをつくった際には外した「イエスタデイ」「ノーウィジアン・ウッド」を今回入れました。せっかく公開するんですから。つまるところ、過去作成のものに四曲が追加されることとなり、その結果、トータルでのプレイリスト再生時間は CD 一枚相当分をちょっと超えるということになりました。
さて、アクースティック・ビートルズ・セレクション(といいながらコンプリートに近い面がありますが)は、基本的には年代順・収録順に素直に並べてあります。ただ、聴いて楽しめるようにという効果を考慮したので、そこから大きく or 小さく外れているケースがあるのはごらんのとおりです。また、『リヴォルヴァー』にこんなにたくさんあったとは、自分でもやや意外です。サイケデリック期の一枚だけにですね。
「ブラックバード」〜「ジュリア」までは、『ワイト・アルバム』一枚目 B 面の流れをほぼそっくりそのまま持ってきました。正直言って『ワイト・アルバム』でいちばん好きなパートです。すこしエレキ・ギターが入るので「ワイ・ドント・ウィ・ドゥ・イット・イン・ザ・ロード」を外さなくちゃいけなかったのがやや残念ですが、でもあの二枚組は全体的にビートルズがアクースティック・サイドを表したものだと言えるかもしれません。
それに関連して一個おわびを書いておきます。今日のセレクションに入れた『ワイト・アルバム』ヴァージョンの「ハニー・パイ」にはちょっぴりだけ効果音的にエレキ・ギターが使われています。今日はこれ一曲だけが例外です。オール・アクースティックじゃないので基準からしたら選んじゃいけないところ。でもこの(本質的に)アクースティックなサウンドで展開するグッド・オールド・ミュージックを外すことがぼくにはできませんでした。
その「ハニー・パイ」が終わったら、たとえば『アンソロジー』ヴァージョンの「アクロス・ザ・ユニヴァース」なども流れてきますが、このヴァージョンではジョージがシタールとタンブーラを弾いていて、サウンド・アイデンティティがやや曖昧(無国籍的?)になっているところが、かえっておもしろく聴こえるんじゃないかと思うんですね。アクースティックなサイケデリック風味もあります。
ア・カペラの「ビコーズ」を経て、美しいストリングスと落ち着いた曲想でおだやかな気分にひたれる「グッド・ナイト」で今日の幕引きです。リンゴのヴォーカルもいい味ですし、ジョージ・マーティンのオーケストラ・アレンジもグッド。こんな落ち着いてやわらかい眠りに誘うようなゆっくりしたいい音楽が、ビートルズのなかにもあるんです。
(※)「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ」もイーシャー・デモ・ヴァージョンに差し替えました。
(written 2019.9.3)
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