このウェイン・ショーターとアート・ブレイキーは、ものすごくすごい!〜ジャズ・メッセンジャーズ『フリー・フォー・オール』
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これ、いったいどうしちゃったんだ?!アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズのアルバム『フリー・フォー・オール』(1964年録音65年発売)、ものすごいじゃないか!こんなジャズ・メッセンジャーズ、聴いたことないですよ。いままでずっと長年このアルバムのことを知らずに来て、ついこないだはじめて聴いたばかりなんですけど、これ、ジャズ・メッセンジャーズ最高傑作じゃないかなあ。いやあ、すごいすごい!!
アルバム『フリー・フォー・オール』では1曲目「フリー・フォー・オール」と3曲目「ザ・コア」がアホみたいに鬼すごいので、この二曲だけを聴いたので OK と思います。んでもっていちばんすごいのがウェイン・ショーターのテナー・サックス・ソロ。これ、いったいどうしちゃったんでしょう?まるでジョン・コルトレインそのものじゃないですか。1964年のトレインがジャズ・メッセンジャーズで吹いたらかくありきと思わせる壮絶さ。マジどうなってんのよ、このウェインは?
ウェインがあまりにすんごいもんで、引っ張られてかボスのアート・ブレイキーも鬼の形相で叩きまくっているじゃないですか。「フリー・フォー・オール」でも「ザ・コア」でも、これはもうブレイキーのドラミングじゃないです。1964年ならちょうどトニー・ウィリアムズがマイルズ ・デイヴィス・バンドでこんな演奏を展開していましたが、『フリー・フォー・オール』のブレイキーはトニーそっくりなパルス感覚の自在なドラミングを展開しているように聴こえます。
「フリー・フォー・オール」も「ザ・コア」もいちおう定常ビートがあるものの、ブレイキーのドラミングはそこにとどまることなく、絶え間なくオカズを入れ続け、というかはみ出すばかりで、もはや4/4拍子を(たとえばハイ・ハットやシンバルで)キープしようなんて気持ちはさらさらないみたいですよね。かなりフリーなドラミング・スタイルに近づいているといえるでしょう。
そのほかサイド・メンではフレディ・ハバードは当時の新世代ジャズ・トランペッターなのでこれくらい吹けても不思議じゃありませんが、守旧派トロンボーンニストのカーティス・フラーまでこんなに鋭角に尖ったソロを演奏できちゃうなんて、これが化学反応ってやつですかね。すべては曲を書き音楽監督をやってアホみたいにフリーキーに吹きまくるウェインと(「ザ・コア」はハバードの曲だけど)、それにインパイアされたボス、ブレイキーのぶっ飛んだドラミングのおかげです。
いやあ、それにしてもアート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズの『フリー・フォー・オール』、なんど聴いても1曲目と3曲目がすごい、すごすぎる!こんなのなかなか聴けませんよ〜。なかでも特にウェイン・ショーターがね、このひともっとこうクールなスタイルの持ち主とばかり思っていましたが、とんでもない、ここでは激アツも激アツ、フリーキー・トーン連発で、沸点200℃くらいで煮え立っています。いやいやあ、これはすごい。こんなの聴いたことありませんよ。ビックリ仰天です。
(written 2019.11.13)
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