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2019/11/26

ケニー・ドーハム『アフロ・キューバン』

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https://open.spotify.com/album/6sfAnBHbBbI8Z4NEDpXycZ?si=SoCFgjNjSZy_DnOv5kZvNA

 

ケニー・ドーハム『アフロ・キューバン』のオリジナル10インチ LP は1955年。その後拡充を二度ほどくりかえし、詳細を説明しなくてもネットで調べればすぐわかると思うので省略しますが、とにかく現在では2007年のルディ・ヴァン・ゲルダー・エディションが標準ということになっているんじゃないでしょうか。しかしそれでもやっぱり10インチ盤に収録だった最初の四曲だけ聴けば(アフロ・キューバン視点からは)オッケーだという気がします。その10インチ・ジャケットはこれ↓

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2007年 RVG 盤だと(Spotify にあるのもそれ)ラスト9曲目も同日録音でメンツも同じですが、それは3曲目「マイナーズ・ホリデイ」の別テイクにすぎないので省略してもいいでしょう。最初の四曲にしぼって話を進めたのでだいじょうぶ。5〜8曲目はなんらアフロ・キューバンではないごくふつうのモダン・ジャズですしね。要するに肝心なのは 1「アフロディジア」、2「ロータス・フラワー」、3「マイナーズ・ホリデイ」、4「バシアーズ・ドリーム」。

 

それでこの四曲を今日ここでは『アフロ・キューバン』と呼びますが、このアルバムほどモダン・ジャズがラテン・ミュージックに直截的に接近・合体せんとしたものはないのかもと思います。それほどすごい。ジャズにおけるラテン要素はこのジャンルの誕生の瞬間からしっかりあったものですけど、モダン・ジャズで、となると、ビ・バップ時代にしばしばキューバの音楽家と合体していたのを除けば、ケニーの『アフロ・キューバン』以上のものはないのでは。ジャズもその後1970年代になってようやく本格的にラテンやアフロ要素と融合するようになりましたけれども、1950年代にここまでのものはありません。

 

ケニーの『アフロ・キューバン』は四管編成でモダン・ジャズ・コンボとしては大きいですが、そのアレンジをだれがやっているのか、というかそもそもアルバム全体をここまでキューバン・ミュージックに寄せていこうとしたのはだれだったのか、ケニー自身かなとは思いますが、ピアノで参加しているホレス・シルヴァーや1955年時点ならホレスの盟友だったドラムスで参加のアート・ブレイキー(二名ともアフロ・キューバン好き)も貢献していたかもという気がします。

 

また、『アフロ・キューバン』にはブレイキーだけでなく、ラテン・パーカッショニストが二名参加しているんですね。コンガのカルロス・パタート・バルデスとカウベルなど金物のリッチー・ゴールドバーグ。この二名がブレイキーと三位一体となって表現するリズムの躍動感にこそ、このアルバムの醍醐味、聴きどころがあるなと思います。それに比すれば、管楽器ソロなどどうってことはありません。ついでにいえばテーマ演奏部のホーン・アンサンブルも放っておいていいでしょう。

 

1曲目「アフロディジア」が聴こえただけでラテン好きの血が踊りますが、実際この、特にコンガの音色と打楽器三名によるリズム・パターン(にはピアノのホレスも貢献)には降参です。ソロ・パートをふくめ一曲全体がこのアフロ・キューバン・リズムで貫かれているのがきわめてポイント高し。打楽器奏者三名はくんずほぐれつしながらこのマンボっぽいリズムをうまく表現しています。いやあ、キッモチエエ〜!トロンボーンの J.J. ジョンスンのソロが終わった瞬間にパーカッション群乱れ打ちになるのもすばらしい。

 

2曲目「ロータス・フラワー」はキューバン・ボレーロのモダン・ジャズふう解釈みたいなものと聴くこともできますね。コンガの定常ビートが心地いいです。このバラードではホーン・アンサンブルやケニーのソロなどもかなりの聴きもの。ソロのあいだ折々にはさまるホーンズも美しいですが、ホントだれのアレンジなんだろう?やっぱりホレスですかねえ。かなりの腕前だと思いますが、ひょっとしてジジ・グライスのアレンジなんじゃないかとも響きます。そんなスタイルのような気も…(ちなみに4曲目がジジの曲ですから)。

 

3曲目「マイナーズ・ホリデイ」は、ソロ・パートで4/4拍子のメインストリーム・ビートになっちゃいますからイマイチあれですけど、それでもコンガがずっと入り続けていてラテン香味なスパイスをまぶしてくれていますよね。まるでルー・ドナルドスンのアルバムでレイ・バレットが叩くのを聴いているような気分で、快感じゃないですか。最初と最後のテーマ演奏部は完全なるラテン・ジャズ・ミュージック。

 

4曲目「バシアーズ・ドリーム」でのリッチーは金物ではなく、聴こえるクラベスを叩いているんでしょう。この曲もソロ・パートは4/4拍子ですけど、3曲目に比べラテン色が濃厚で、リズムの多彩さ、陰影も見事ですよね。コンガやドラムスが表現するリズムの躍動感も強力ですし、跳ねも大きいです。特にブレイキーのシンバルがとても印象的に響きます。クラベスを中心にクラーベのパターンが潜在的に織り込まれていて、まごうかたなき完璧ラテン・ジャズだと言えましょう。

 

(written 2019.11.6)

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