リベリアのアフロ・ジャズ・ファンク、カピンジーがかっこいい
https://open.spotify.com/album/2g2XdoOf0PLsR9i23L7Jcn?si=k-hNXVqnRhS8naI4ijYHow
bunboni さんに教えていただきました。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2019-10-12
カピンジーと読むらしい Kapingbdi。リベリアのバンドです。その編集盤『ボーン・イン・ザ・ナイト』(2019)はこのバンドの三枚のレコードからの抜粋みたいで、しっかしこ〜れが!カァ〜ッコイイんですよ。リベリア音楽のことをまったく知りませんが、このアルバムで聴くかぎり、1970年代のアメリカにけっこうあったアフロ・ジャズ・ファンクですね。
アルバムの全10曲、テンポのいい快速グルーヴ・チューンばかり続くのはコンピレイションだからなんでしょう。このバンドの魅力をギュッと凝縮して届けたいという編纂者の意図が伝わります。実際、カピンジーの『ボーン・イン・ザ・ナイト』を聴くと、猛烈にグルーヴするカッコいいバンドだって納得しますよね。リーダーはサックス(&たぶんフルートも)のコジョ・サミュエル。編成はコジョのほか、たぶんギター、キーボード、ベース、ドラムス、パーカッションっていう感じでしょう。
とにかくアルバム1曲目の「ドント・エスケイプ」。この曲の出だしから三分すぎまでのテンポ・ルパートな導入部はぼくにはどうってことないですが、その後ドラマーが激しく叩きはじめ、強いビートが効きだしてからが本番ですよ。もうそこがなんといっても超カッコイイんでシビレます。グルーヴがね、生きていますよね。コジョのサックスはもちろんいいんですけど、個人的にはこのギターリストが大の好みです。伴奏で刻んでいるときもソロでも、実にカッコいい弾きかたですねえ。どの収録曲でもそう。
アルバムは全体的に似たような感じで進みますが、曲によってコジョはフルートを吹いたり、また歌ったり、あるいは男声バック・コーラスみたいなのも頻繁に聴こえるのはバンド・メンバーによるものでしょうか。1曲だけ女声リード・ヴォーカルの曲もありますね。でもどの収録曲もつくりの根本は同じです。手数の多いドラマーの叩きかたも好みですねえ。
4曲目の「アワ・ヘリティッジ」もすごいグルーヴだし、この曲ではコジョはフルートですけど、吹きまくるテナー・サックスで聴いてみたかったと思わせるいい曲です。コジョのサックスの吹きかたはちょっとジョン・コルトレインとかそのフォロワーみたいな感じで、1960〜70年代にはたくさんいたあのスタイルですね。それがアフロ・ジャズ・ファンクとこんなに相性いいんだから、トレインだってもっと長く生きていれば…。
8曲目の「マリ・フィーリング」でもギターリストがとてもいいですが(まるでギターを弾くトレインみたい)、このリズム、ビート感こそ命ですよね。アフロ・グルーヴに乗って、ここではコジョがサックスを吹いてくれます。そのソロが実に聴かせる内容で感心しますよね。リベリアにこんなにすばらしいサックス奏者がいたんだなあ。しかもこんなにもカッコいいアフロ・ジャズ・ファンクをやってくれていて、こんなにもグルーヴィだっていう。はっきり言って降参しちゃいました。
(written 2019.10.16)
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