マヌ・ディバンゴ『ワカ・ジュジュ』
https://open.spotify.com/album/30gLt6nQcs5kTTU1n9zoZh?si=4YIOo82CTrOnz1fOKQCdeg
マヌ・ディバンゴ1982年の『Waka Juju』がアナログ・リイシューされたそうです。アナログだからぼくは買わないですけど、Spotify で聴けますので。これを知ったのは先日某ショップのツイートで発売のアナウンスがあったからで、それで早速さがして聴いてみました。ぼくは存在すら知らなかった一枚で、ひょっとして名盤なんですかね。うん、中身はかなりいいです。
マヌってアフロ・ジャズの音楽家と呼んでいいと思うんですけど、でもアフロ云々といわなくなっていわゆる1970〜80年代的ジャズ・フュージョンとしてもさしつかえないですよね。実際、ジャズ・フュージョンのなかにはアフリカ/ラテン音楽要素がたくさん入り込んでいたんだし、それをアメリカ人が取り入れるかアフリカ人側がそのまま活かすかの違いだけでしょう。結果的には似たような内容に仕上がっていると思います。
だからマヌの『ワカ・ジュジュ』もフュージョンっぽいのですね。特にそれを実感するのはアルバム2曲目の「ドゥアラ・セレナーデ」ですね。これはもろアメリカ西海岸的なさわやかフュージョンの香りがします。1982年ならちょうど当時の渡辺貞夫さんがやっていてもおかしくない曲ですね。曲想やマヌがサックスで吹くメロディなどなど。
また、この曲でもほかのすべての曲もそうなんですが、エレキ・ギターの弾くリフが印象的ですね。エレキ・ギターは実際このアルバムのサウンド・メイクの中心になっているなと思います。ときにはシングル・トーン、ときにはコード・ワークで、曲の根幹を成すビートを生み出していますよね。3曲目の「アフリカ・ブギ」なんかでも冒頭からコードで弾かれるパターンが気持ちいいです。
さらにピアニストはわりとラテン・ミュージック(サルサ?)を思わせる弾きかたをしているのも印象に残ります。1曲目の「ワカ・ジュジュ」でも中盤でそうだし、4曲目の「モウナ・ポーラ」なんか完璧ラテン・ミュージックじゃないですか。そこにエレキ・ギターがグチョグチョとからんでいき、マヌが吹くという。5曲目「マ・マリ」はエレキ・ベースのリフとクールなヴァイブラフォンが印象的な、これもフュージョンっぽい一曲です。アルバム・ラスト6曲目の「マンガ・ボロ」はアフロ・ファンクと呼んでいい内容で、たった33分間のこの『ワカ・ジュジュ』はあっという間に終わります。
(written 2019.11.10)
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