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2019/12/03

ジャズって小粋で洒落たポップ・ミュージックなのだ 〜 ジェフ・ゴールドブラム

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https://open.spotify.com/album/1EMMlBhECxqCcuEjSvMw0N?si=UnGpM9aKRlW1oZO4iVIDqQ

 

萩原健太さんの紹介で知りました。
https://kenta45rpm.com/2019/11/06/i-shouldnt-be-telling-you-this-jeff-goldblum/

 

ジェフ・ゴールドブラムといえばみなさんご存知の有名俳優ですが、なんとジャズ・ピアノの腕前のほうも一流だったとは、ぼくはついこないだまで知りませんでした。二作目になるらしい『アイ・シュドゥント・ビー・テリング・ユー・ディス』(2019.11.1)がすっかりお気に入りになっています。ミルドレッド・スニッツァー・オーケストラとの共演。ジェフはお父さんがエロール・ガーナーの大ファンだったそうで、幼少時分からジャズに接してきたらしいです。

 

アルバム『アイ・シュドゥント・ビー・テリング・ユー・ディス』にはインストルメンタル・ナンバーも三曲あります。ハービー・ハンコックの「ドリフティン」、ジョー・ヘンダスンの「ザ・キッカー」、ジミー・スミスの「ザ・キャット」。ジェフは決して弾きまくらず、どっちかというと脇役にまわっているような感じで、短いソロもとるんですけど、ほかの楽器奏者が演奏している時間がずっと長いです。

 

しかしこれらはこのアルバムのなかでは例外かも。ほかの曲はすべてヴォーカリストをフィーチャーしていますから。ラスト11曲目ではジェフみずから歌っていますがそれはいいとして、ほかは名のある歌手を招いていますよね。個人的な印象としてはヴォーカル・ナンバーで小粋にまとめるスウィンギーさが、このアルバムやジェフの持ち味なんじゃないかと思えます。

 

なかでも器楽曲と歌ものの合体が三つあるでしょう。「ザ・サイドワインダー/ザ・ビート・ゴーズ・オン」「ジャンゴ/ザ・スリル・イズ・ゴーン」「フォー・オン・シックス/ブロークン・イングリッシュ」。これら三つこそこのアルバムの目玉ですね。なんて楽しいのでしょうか。しかも小粋で小洒落てて、(アルバム全体も)ラウンジ・ミュージックふうですけど、かつてのジャズとはそんなものだったことを思い出させてくれます。

 

これらの合体曲、器楽演奏部分はいずれも超有名ジャズ・オリジナル、歌のほうはそうでもないポップ・ナンバーというところに注目したいです。この合体のアイデアとアレンジがジェフのものなのか、それともプロデューサーやアレンジャーの発案なのかはわかりませんが、実にスムースにつながっていて、違和感ゼロですよね。ジャズ・オリジナルとポップ・ナンバーがこんなふうに合体できるのは、考えてみたらあたりまえですけど、しばしば忘れられがちだったり、あるいは否定されたりすることだってあるんじゃないですか。

 

ジェフらがやっているこうした合体は、ジャズもポップスも本当は違いなんてない、ひとつながりのものであって、こうやって工夫すればなんの違和感もなく融合できちゃうよという、ジャズ・ミュージックのかつてのというか(ロックが出現する前までの?)本来の姿を思い出させてくれているんじゃないかと、ぼくは考えています。そう、ジャズってアメリカン・ポップ・ミュージックの保守本道を歩んでいた音楽だったんですよね。

 

(written 2019.11.17)

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