フェラ・クティとロイ・エアーズの共演盤
https://open.spotify.com/album/0MBoCqtaNMo5av80u0YqqT?si=LeQhfO_xQjCUzQcvep97Og
フェラ・クティとロイ・エアーズ1979年の共演盤『ミュージック・オヴ・メニー・カラーズ』。これ、Spotify のだと1曲目が「2000 ブラックス・ガット・トゥ・ビー・フリー」ですけど、ナイジェリア盤レコードだとどうやらこれが逆なのかもしれないですよね。レコードでは「アフリカ - センター・オヴ・ザ・ワールド」が A 面だったんじゃないでしょうか。どうしてひっくりかえしちゃったんでしょう。
それはいいとして、このアルバム、1990年代的レア・グルーヴの香りもプンプンと立ち込めていますよねえ。ぼくは Spotify のでしか聴いていませんから、A 面 B 面のことが(ひっくりかえっているのか?とかも)わかりませんので、Spotify にあるのにそのまま沿って話をしますが、まず1曲目の「2000 ブラックス・ガット・トゥ・ビー・フリー」ではロイ・エアーズが主役のようで、歌っているのもロイです。
フェラが自身の名前を冠したアルバムで、ここまでゲストを立てているのはなかなか珍しいことじゃないでしょうか。そもそもこのときロイはフェラのライヴの前座をやるべく自分のバンドを引き連れてアメリカから飛んできたわけで、1979年といえばロイも立派に自身のキャリアを築いていましたし、フェラもそんなことでここまでロイをフィーチャーしているのかもしれないですね。
この1曲目はロイのバンドとフェラのバンドの合体演奏で、しかもなんだかディスコ調に近いですよね。ロイはちょうどこのころそんな音楽に接近していたし、この曲はロイ主導ということでこういった感じになっているんでしょう。テナー・サックス・ソロはフェラではなく、ロイのバンドのハロルド・ランドみたいです。1曲目ではフェラの音楽っぽいところが薄いかもしれません。同じフレーズをくりかえすコーラス隊はフェラのバンドのひとたちでしょうけど。ぼくとしてはジャズ・ファンクと言いたいところ。
そこいくと、2曲目に来てフェラが主導の「アフリカ - センター・オヴ・ザ・ワールド」になればおなじみのアフロビートになるので安心というか、フェラの音楽としては落ち着く感じです。2曲目では歌もサックス・ソロもフェラのものでしょう。ロイのバンドからはボスのヴァイブラフォンとハロルド・ランドのサックスだけ参加している模様。そしてフェラはここでもロイにどんどん弾かせていますよね。
これはなかなか珍しいことだと思います。ふだんどおりのアフロビートをやるフェラのバンドの演奏でヴァイブラフォンがこんなに目立つのは、ぼくはこのアルバムでしか聴いたことがありません。アフロビート+ヴァイブ、このおかげでかなりジャジーな雰囲気も漂っていますし、ふだん聴けないフェラということで、かなり異色ですね。
歌詞は二曲とも黒人とアフリカを賛美したみたいな内容で、音楽的には1曲目がディスコ調だったりはしますが、延々と反復されて次第にアフロビートに傾くというか融合していって、聴き手の感覚が麻痺していくような感じに聴こえなくもないし、2曲目もテナー・ギターのヒプノティックな響きを背景にロイのヴァイブがクールに決まっていて、こんなアフロビートもほかでは聴けないっていう、なかなかおもしろい一枚じゃないでしょうか。
(written 2019.11.19)
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