明瞭な歌 〜 ジャネット・エヴラがとてもいい
https://open.spotify.com/album/4dE6czaEnJONr6vwQY0VHh?si=3gom32BIRRmXatOuE1RJvA
bunboni さんに教えていただきました。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2019-11-23
ジャネット・エヴラ。英国出身で、いまはアメリカのセント・ルイスに拠点を置いて活動するシンガー・ソングライターみたいです。そのデビュー作『アスク・ハー・トゥ・ダンス』(2019)がとってもいいですよ。ジャネットはやっぱりジャズ歌手なのかな、楽器はコントラバスをやるらしく、このアルバムのベースもたぶんジャネット自身でしょう。
ジャネットの最大の長所はその明瞭な発声にありますね。ハキハキしていて歯切れよく、滑舌がすばらしくいいし、鮮明で一個一個のことばの発音がクッキリしていて、聴いていてこんなにも気持ちいい歌手はなかなかめずらしいと思います。近年まれじゃないでしょうか。
さらに bunboni さんも書いていらっしゃいますけど、低音域から高音域まで声質をまったく変えずに、特に高音で張らず、全体をスムースにムラなく同質に歌える歌手ですよね。これはかなりの才能だと思います。ふつう高い音を出すときは声が立ちますからね。ジャネットのばあい、どんな音域でも同じ発声ができるという、これは訓練でなんとかなるような気がしませんから、天賦の才じゃないでしょうか。
そんなわけですから、アルバムを聴いていて実に心地いいんですよね。曲もジャネットの自作みたいですけど、軽いジャズ・ボッサ・テイストをうまく活かしたモダンなものが多く、とても聴きやすく気分いいです。バックはギター入りのリズム・セクション+(曲によって)複数の管楽器といったところ。伴奏はあくまで脇役に徹していて、決してジャネットのヴォーカルの前に出たりはしません。目立つソロもあまりなしで歌伴としては理想的。
ジャズといわず、聴いていてこんなにも心地いいヴォーカル・アルバムはひさしぶりに出会ったような気がしますよ。オススメです。この快感な肌ざわりを味わってほしいです。1曲目「パリ」とか9「アスク・ハー・トゥ・ダンス」なんか、極上ですよ。ぼくはアルバム出だしの "I still wonder" 三語で惚れました。
(written 2019.12.11)
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コメント
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ここに書いてあるものを持ってるものは引っ張り出し、
持ってないものはたまに買うと言った感じで、お世話になってます。
これは読んで、youtubeでチェックして即購入しました。これは良い。
youtubeで見ると、ちっちゃいライブハウスでベース引きながら歌う姿、閲覧数の少なさ、
など見ると大変そうだけど、頑張ってほしいなと思うが、演出かも。
歌い方も良いけど曲が良いですね。ジャケに何も書いてないけど自作?
投稿: cleanhead | 2019/12/31 00:52
全曲ジャネット・エヴラの自作のようです。シンガー・ソングライターなんです。
投稿: 戸嶋 久 | 2019/12/31 09:53