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2019/12/22

エピック・イン・ジャズ、最終回は『ザ・デュークス・メン』

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https://www.amazon.co.jp//dp/B00005ULFO/

 

エピック・イン・ジャズのシリーズ(全六枚)のことをいままで散発的に書いてきましたが、いよいよ今日で最終回であります。名盤『ザ・デュークス・メン』をとりあげます。いままでもこのシリーズのことを書く際には付記してきたことをくりかえしておきますと、エピック・イン・ジャズのシリーズは、第二次世界大戦後にエピックというレコード会社(コロンビア系)が LP 形式で発売した戦前ジャズ音源(もとは SP 盤で発売されたもの)の編集盤。編集盤といいましても、一人のジャズ・マンを特集していたり、一個のテーマのもと蒐集されたものですから、アルバムとして整った体裁があります。

 

ちょっとふりかえっておきましょう。まず最初ぼくがこのシリーズのことを書いた文章はこれ。
https://hisashitoshima.cocolog-nifty.com/blog/2016/08/post-c36a.html

 

一個一個の単独記事のリンクも貼っておきます。参考にしてください。


『チュー』チュー・ベリー https://hisashitoshima.cocolog-nifty.com/blog/2019/07/post-f6efb1.html


『レスター・リープス・イン』レスター・ヤング https://hisashitoshima.cocolog-nifty.com/blog/2017/09/post-31f4.html


『ホッジ・ポッジ』ジョニー・ホッジズ https://hisashitoshima.cocolog-nifty.com/blog/2019/10/post-ba6c1f.html


『テイク・イット、バニー!』バニー・ベリガン https://hisashitoshima.cocolog-nifty.com/blog/2018/10/post-790b.html


『ザ・ハケット・ホーン』ボビー・ハケット https://hisashitoshima.cocolog-nifty.com/blog/2017/12/post-4f6c.html

 

さて『ザ・デュークス・メン』ですけど、エピック・イン・ジャズのシリーズでこの一枚だけが単独の演奏家をフィーチャーしたアルバムではありません。アルバム題で推察できますように、デューク・エリントンが彼の楽団のサイド・メンたちを使って実施したスモール・コンボ録音を集めたものなんです。

 

主に1930年代にデュークは自楽団からのピック・アップ・メンバーでスモール・コンボを組み、主にコロンビア系レーベルにたくさん録音を残し、当時からレコード発売(もちろん SP 盤)されました。その多くが楽団サイド・メンのリーダー名義のもので、ぜんぶかきあつめれば100曲以上もあるはずです。いまだ全貌はリイシューされていません。

 

『ザ・デュークス・メン』はそんななかから四人、レックス・スチュワート(コルネット)、バーニー・ビガード(クラリネット)、ジョニー・ホッジズ(アルト・サックス)、クーティ・ウィリアムズ(トランペット)名義のレコード音源をそれぞれ四曲づつの計16曲収録したもの。録音は1936〜39年。

 

もちろんデュークの楽団員でどのコンボも編成され、だいたい六〜七人程度のばあいが多いです。こまかいことはネットにあるディスコグラフィなどくってみてください。すぐわかります。大切なことは、これらぜんぶ「デュークの音楽」であるということです。名義こそサイド・メンのリーダー・レコードのようになっていますが、編成も全員デュークの楽団員、御大もピアノと作編曲で全面的に参加しています。できあがりの音を聴けば瞭然としていますよね。

 

さて、『ザ・デュークス・メン』収録の全16曲のうち、個人的に特に好きなのは1「レクシェイシャス」(レックス・スチュワート)、5「クラウズ・イン・マイ・ハート」、7「キャラヴァン」、8「ストンピー・ジョーンズ」(以上バーニー・ビガード)、14「ブルー・レヴァリー」、15「エコーズ・オヴ・ハーレム」(以上クーティ・ウィリアムズ)なんですね。

 

これらはいずれの曲もデュークのアレンジメントが冴えていて、このひとにしか出せないデューク・カラーがスモール・コンボ編成のなかにもくっきりと横溢しているでしょう。聴けば、エリントン楽団をそのまま縮小化したような見事なサウンドを表現できていると、万人が納得できるはずです。ピアノ・スタイルだっていかにもデューク。

 

さらに、デュークの楽団をデュークの楽団たらしてめていたのは、サイド・メンたちの色とりどりの個性、独自の音色でもありましたね。上記の曲たちではそれもフル発揮されているがため、コンボ録音でありながら、一聴してデュークがそこにいるなと強く実感できるものです。また個々のサイド・メンの実力のほどを思い知ったりもしますね。

 

ことに「キャラヴァン」はこの『デュークス・メン』に収録されているヴァージョンが初演なんです。冒頭からまるでヴァイオリンみたいな音色で吹くファン・ティゾルが魅惑的でしょう。次いで出るプランジャー・ミュートをつけたクーティ・ウィリアムズも見事。ハリー・カーニー、バーニー・ビガードと名演が続きます。いやあ、たまりませんね。御大のアレンジも絶品。
https://www.youtube.com/watch?v=mKF2qlzdwlY

 

また、続く「ストンピー・ジョーンズ」はバーニー・ビガード畢竟の名演であります。この技巧のすばらしさ、疾走するスピード感、迫力、チャームなど、どこをとってもこれ以上のジャズ・クラリネット・ソロをさがすのがむずかしいと思うほどです。エリントン楽団ヴァージョンよりも出来はいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=m09rAlyAYlI

 

クーティ・ウィリアムズ名義の「ブルー・レヴァリー」は、ベニー・グッドマンが1938年のカーネギー・ホール・コンサートで再現したほどの名演。これぞジャングル・サウンドともいうべきこのムードは、なんともいえず味わいがありますね。クーティとトリッキー・サム・ナントンのプランジャー・ミュートが冴えています。同様に「エコーズ・オヴ・ハーレム」も見事なジャングル・サウンドでしょうね。
https://www.youtube.com/watch?v=WHtEJxXpMIY
https://www.youtube.com/watch?v=ebjol82zTf4

 

(written 2019.12.5)

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