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2020/01/01

プリンスの1982年デトロイト・ライヴがいい 〜『1999』拡大盤

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https://open.spotify.com/album/1rVZhQOyV33ZKRNXTnrjTM?si=1Kv0XH13RgSF4CpbsR-wGA

 

2019年11月末に発売されたプリンス『1999』のスーパー・デラックス・エディション5CD+1DVD。DVD に収録の音楽は聴いていませんが、五枚の CD に収録のうちでは五枚目にある1982年11月30日のデトロイト・ライヴ(レイト・ショウ)が抜きに出てすばらしいのではないでしょうか。ぼくはもうこればかりくりかえし聴いています。

 

このデトロイト・ライヴ、当時の新作アルバム『1999』が10月に発売になったばかりということで、そのキャンペーンということだったんじゃないでしょうか。この新作アルバムでプリンス史上はじめてバンド、ザ・レヴォルーションがクレジットされていたわけですけど、ライヴ・ツアーをやっているのもその同じバンドということなんでしょう。といってもアルバムのほうは名義だけで、実質的にはやはりプリンスのひとり多重録音が多いんですけど、ライヴではそうはいきませんよね。

 

デトロイト・ライヴを聴いてみると、バンドは相当よくやっているなと感じます。スタジオではプリンスがなんでも完璧にこなしてしまいそれと同じレベルをライヴでは生バンドに要求するらしく、なかなかたいへんだったみたいですけど、聴いた感じスタジオ・ヴァージョンと遜色ないし、ライヴならではのキメやソロもバッチリで、文句なしじゃないですか。

 

演奏されているのはやはり『1999』からの曲が中心で、そこに『コントロヴァーシー』『ダーティ・マインド』からのものを混ぜているという感じです。それら以前からのレパートリーも、『1999』の音楽性にあわせた新時代のというか、当時のプリンス最新のサウンドに更新されているのは、当然とはいえさすがですね。

 

たとえばオープニングの「コントロヴァーシー」からしてもうスタジオ・ヴァージョンとは様子が違っています。冒頭に曲「1999」で使われていた低音男声ナレイションを入れて P ファンクふうに仕立ててあるのもそうですし、曲のグルーヴも新しくなっているなと感じます。ノリが違うんですよね。1982年のプリンス・ミュージックになっています。これをこの日のレイト・ショウ幕開けにもってきたのは正解。

 

ほかにもたとえば「ドゥー・ミー、ベイビー」「ヘッド」「アップタウン」といった以前のポップ・ナンバーも様変わりしています。後者二曲なんかファンク・チューンに近づいているし、最初の官能セクシー・ソングも軽いビートが効いて変態的なエロさが薄まり、ある意味ライヴでも聴きやすい親しみを感じさせる内容になっていますよね。またプリンスの演奏する(右チャンネル)エレキ・ギターのコード・ワークも見事です。

 

そう、全体的に聴きやすくノリやすい、これがこのデトロイト・ライヴの大きな特色なんですね。以前のナンバーだけじゃありません、最新アルバム『1999』からの曲でも、そのスタジオ・ヴァージョンよりも親しみを増すように工夫されています。これはやはりライヴだからでしょう。プリンスといえどまだ大ブレイク前、すでにツアーは一万人規模の会場でやるようになっていたとはいえ、まだまだ唯我独尊的世界には踏み込んでいなかったんでしょうね、生の観客の前では生の親しみやすさ、盛り上がり感を重視したんだと思うんです。

 

特にぼくの耳を特に惹いたのは8曲目の「ハウ・カム U ドント・コール・ミー・エニイモア」です。これはアルバム未収録曲で、シングル「1999」の B 面となって発売されたものです。大好きなトーチ・ソング(失恋歌)なんですよね。スタジオ・ヴァージョンではプリンスみずから弾くアクースティック・ピアノだけの伴奏で歌われていました。それが実に沁みる哀切でいい感じでしたよね。

 

このライヴの「ハウ・カム〜」では、やはりこのピアノはプリンス自身の演奏でしょう。1982年ごろみんなライヴでは使っていたヤマハのエレクトリック・グランド・ピアノの音色がします。また、ここでは背後でタンバリンの音とヴォーカル・コーラスが聴こえますね。指を鳴らす音も入っていますよね。それらのおかげで、もとからちょっぴりゴスペルちっくだったこの曲のそのゴスペル要素がきわだっているなと思うんです。ドゥー・ワップ・ソング的にも聴こえますしね。実にいいなあ。

 

ライヴの本編ラストは「1999」(「D.M.S.R.」はアンコールだと思います)。スタジオ・ヴァージョン冒頭に入っていた低音ナレイションはライヴ幕開けで使ったのでここではなし。いきなり本演奏に入ります。いかにもライヴ・バンド、ツアー・バンドだっていうだけのマイク・リレーやノリのよさ、ギター・ソロのライヴ感、バンドの演奏の生々しさ、あいまあいまに入るプリンスの掛け声など、どこをとっても文句なしのキレのよさで、ライヴのよさを実感します。

 

(written 2019.12.21)

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