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2020/01/11

マイケル・ネスミスの1973年インストア・ライヴが楽しい

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https://open.spotify.com/album/1qKFWOAhRKluokVpeLE0Xc?si=kLO_IfhwR1GGuZTFw_rMVg

 

萩原健太さんのブログで知りました。
https://kenta45rpm.com/2019/12/04/cosmic-partners-michael-nesmith/

 

2019年の初冬にリリースされたマイケル・ネスミスの未発表ライヴ・アルバム『コズミック・パートナーズ〜ザ・マッケイブズ・テープス』が文句なしに楽しいですよ。マイク・ネスミスはもちろん元モンキーズのメンバーですけど、アイドルあがりだろうとバカにするひとなどいないのでは。実力のほどは中村とうようさんも認めていましたね。本格カントリー・ロッカーと呼んでいいはず。

 

『コズミック・パートナーズ』は1973年8月18日にカリフォルニアはサンタ・モニカのギター・ショップ「マッケイブズ」で行われたライヴ。アルバム題のマッケイブズはここから。マイクのギター&ヴォーカルのほかは、ペダル・スティール・ギター、ベース、ドラムスというシンプルなカルテット編成で、和気あいあいとしたごきげんなライヴを聴かせてくれているんです。

 

このアルバムには演奏や歌のないおしゃべりだけのトラックもけっこうあるし、演唱トラックでも前後にたいていおしゃべりがくっついています。観客の反応もよく入っているし、親密でのんびりしたインストア・ライヴの様子が伝わってきて、録音されたものを自宅で聴いているだけのぼくでも気分がなごみますね。アメリカのカントリー・ロッカーって、こういった雰囲気をかもしだすのも持ち味ですよ。

 

ただたんに雰囲気がいいっていうだけじゃありません、演奏と歌の内容も見事なものなんです。特にアクースティック・ギターでカッティングを聴かせるマイクと、ペダル・スティールで極上の味わいを出す O.J.・レッド・ローズの熟練ぶりが目立ちます。ベースとドラムスはサポートに徹していますかね。レッド・ローズはマイク・ネスミスのソロ・キャリアの初期からずっと付き合ってきていますので、息はピッタリ、阿吽の呼吸です。

 

ジミー・ロジャーズ・ナンバーのカヴァーでは、マイクがやはりブルー・ヨーデルを披露するし、自作曲でも既存のものや当時の発売予定のものなど新旧とりまぜて、また歌のないインストルメンタル・ナンバーも二曲あり、それらでのマイクのソツのないギター・カッティングぶりとレッド・ローズの絶妙に入るペダル・スティールのオブリガートやソロなど、楽しさ満載です。リラックスできて、流し聴きしてよし聴き込んでよしと、カントリー・ロックの小規模インストア・ライヴとして文句なしのできばえですね。

 

ところでギター・インストルメンタルといえば、このアルバム10曲目の「ポインシアーナ」。第二次世界大戦前からある古い有名曲ですけど、お聴きになって日本人なら感じることがあるでしょう、そう、美空ひばりが歌った「川の流れのように」のメロディそっくりなんですよね。ひょっとしてそれを作曲した見岳章は「ポインシアーナ」を参考にしたのではないでしょうか。これだけソックリなんだからだれかが言っているはずとネット検索してもあまり出てこないのが不思議です。ひばりの有名曲なので、みなさん遠慮なさっているのでしょうか?

 

それはそれとして、マイク・ネスミス。『コズミック・パートナーズ』のなかで個人的にぼくがいちばんグッときたのは、長いエピソードをしゃべったあと最後にやる二曲「ジョアンヌ」と「シルヴァー・ムーン」です。特に「シルヴァー・ムーン」かな、これは本当に絶品と言っていいすばらしいヴァージョンだと思います。

 

「シルヴァー・ムーン」はマイク・ネスミス最大の代表曲のひとつなんですけど、ここに収録されているヴァージョンはテンポ設定といい、ギター・カッティングのうまさといい全体のアレンジといい、レッド・ローズのからみ具合、ベースとドラムスのサポートの堅実さといい、もうどこをとっても100%完璧ですね。オリジナルやいくつかあるライヴ・ヴァージョンと比較しても、ここまで見事な「シルヴァー・ムーン」はありません。

 

このマッケイブズ・ヴァージョンの「シルヴァー・ムーン」には、しかもカリブ風味があるでしょう。これが特筆すべきことがらです。ぼくははっきりとそれを感じますよ。カントリー・ソングなのに、というかそうだからこそ、こういったリズムは付与されうるものだと思うんですね。特にマイクのギター・カッティングのリズム・ニュアンスを聴いてみてください。ふりかえればもともとカリビアン・ニュアンスのある曲想を持つものだったのかもしれないですね。レッド・ローズのペダル・スティールも南洋ムードに聴こえます。

 

こんなにも心地いい「シルヴァー・ムーン」はないなあ、こんなにも心地いいアメリカン・ポップ・ソングもなかなかない、と思いながらすっかりいい気分にひたりきってリラックスして聴いていると、このライヴを収録したテープが突然ヒュルヒュルって止まってしまい、「シルヴァー・ムーン」が終了しないまま、途中で突如夢から現実に引き戻されたみたいな気分で、なんだかぼくはこ

 

(written 2019.12.30)

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