サンバ・ジ・エンレード 2020
https://open.spotify.com/album/1JaziyQu8J8mFQc0ikKaDb?si=Fr6jbkWyTHq_W4t9gvzS1g
毎年恒例のこのサンバ・アルバム。今2020年のリオのカーニヴァルは2月21日から。それにさきがけて昨年暮れに公式アルバムが発売されています。『サンバス・ジ・エンレード 2020』。ぜんぶで13曲収録なのは、13のエスコーラのオフィシャル・サンバ・エンレードを一曲づつ収録しているからなんでしょう、きっと。エスコーラごとにそれぞれ趣向を凝らし…、と思って聴いてみたら、なんだか共通する特色がありますよね。
それはひとことにしてスピード感です。歌謡サンバみたいなのとカーニヴァル・サンバとは違うというのはそうなんでしょうが、それにしても『サンバス・ジ・エンレード 2020』で聴ける13のサンバはものすごいスピード感じゃありませんか。しかもリズムをとても細かく刻んでいるし(特にカイーシャが)、タイトでシャープなノリを感じます。ここまでとはねえ。
カーニヴァル・サンバでも、むかしのものはこうじゃなかったように思うんですけど、ぼくの勘違いでしょうか。ゆったりと大きく乗るような部分があまりなく、悪く言えば余裕がなく性急な感じがしますよね。セカセカしているといいますか、こういうのがいまどきのカーニヴァル・サンバなんですね。これも時代のフィーリングの変化ということなんでしょう。
社会性、時代性を反映してそんなふうに音楽も変わってきているんだと思いますが、世界で、日本でも、もちろんブラジルでも、ものごとの流転の速度を増すばかりの世相。音楽アルバム『サンバス・ジ・エンレード 2020』を聴いてもそれを感じとれます。いいのかよくないのか、好きか嫌いかは意見が分かれるところでしょうね。実はぼくもイマイチな感は否めません。サンバでもゆったりとした繊細なノリのフィーリングのものがもっと好きです。
でもこれはこれでいまの時代の音楽ということなんでしょうから、いいもよくないもないです。リズム感覚って、音楽のなかでもいちばん時代を反映するものだと思いますから、変化の速い2010年代にサンバがこんな感覚になるのも当然なのかもしれないですね。和声感やメロディの動きかたなどはむかしのサンバと違いはありません。スピード感あふれるこういったカーニヴァル・サンバでいまは踊りパレードするのでしょう。
(written 2020.1.9)
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