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2020/01/09

ハンク・モブリー『ディッピン』では最初の二曲を

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https://open.spotify.com/album/3mx9Te2p8koxBI9oe1341j?si=9zQ-bsPfQF6gUr5lHTyeUw

 

長年軽視してきたハンク・モブリーの魅力を、最近ようやく発見しつつありますが、アルバム『ディッピン』(1965年録音66年発売)もいいですよね。最初の二曲「ザ・ディップ」「リカード・ボサ・ノーヴァ」で決まり、としてもいいくらいこのふたつが魅力的じゃないですか。ぼくなんかこの二曲しかアルバムで聴いていないかもと思うくらいですよ。

 

これら二曲、どっちもいわゆる(2018年にぼくが夢中だった)ブルー・ノート・ブーガルー #BlueNoteBoogaloo の系列にあるものとして間違いないでしょう。特に1曲目の「ザ・ディップ」はそうです。な〜んてカッコイイイ曲なんでしょうか。曲のテーマ演奏部を聴いているだけで快感ですが、リズムもいいですよね。8ビートで、いやあ実にいいです。ドラムスはこのアルバムでもやはりビリー・ヒギンズ。なるほどなあ。

 

しかも「ザ・ディップ」はハンク・モブリーの書いた曲なんですよね。こんなにもカッコいい曲を書くひとだったなんてねえ、見直さなくちゃいけません。そのあまりにもカッコいいテーマ部は二管で演奏されますが、トランペットはリー・モーガンなんですね。リーは「ザ・サイドワインダー」みたいなものをやっているので、まったく不思議じゃありません。ソロもいいです。

 

ソロがいいといえば、「ザ・ディップ」ではハンク・モブリーのテナー・サックス・ソロの内容も見事ですよね。こんなに吹けるひとだったんですね。ソング・ライティングといいアレンジといいテーマ〜ソロ内容といい、いやあ、ハンクって実にすばらしいジャズ・マンじゃないですか。いまさらなのかと言われそうですけど、ここまで聴かされたら文句なしですよ。ピアノのハロルド・メイバーンもいつものようにファンキーで言うことなし。

 

「ザ・ディップ」がオリジナル・ナンバーでカッコいいのに対し、2曲目の「リカード・ボサ・ノーヴァ」は(ブラジル生まれの)スタンダード・ナンバーですね。別の英語題は「ザ・ギフト」。「ザ・ギフト」題でおなじみのかたも大勢いらっしゃるかもしれません。この「リカード」がスタンダードになったそのきっかけが、ハンク・モブリーのこのアルバムのヴァージョンだったのかもしれませんよね。

 

実際、これを聴いたら自分もやりたいって思うほどハンクの「リカード」はすばらしくチャーミング。こんなジャズ・ボッサ・ナンバーをこんなふうにやれるジャズ・マンだったんですねえ。テナー・ソロもいいし、もうびっくりです。しかもこの曲がまだそんなには知られていないころでしたから。これをとりあげようというのはいったいだれのアイデアだったんでしょう?ハンクだったとしたら降参です。

 

ところでこの曲「リカード」が「ザ・ギフト」題で日本でもよく知られているのは、実はイーディー・ゴーメの歌でじゃないかと思うんですね。たしか1980年代ごろでしたか、日本のテレビ CM で使われていませんでしたっけ。それでこの曲のこんな魅惑的なメロディが知れわたったんじゃないかと思うんですね。イーディー・ゴーメはそれなりに人気のジャズ歌手ですしね。

 

ちょっと思い出話をしますと、そのテレビ CM が流れていたらしい時期にぼくはすでに東京に出てきていたんですけど、夏に帰省した際、松山でずっと通っていたジャズ喫茶のマスターがこんな曲を耳にしたんだけど、おまえ知らないか、レコードがあるならほしいんだと言うんですね。なんの話だろうと思ってよくよく聞いてみたら、イーディー・ゴーメの歌う「ザ・ギフト」のことでした。

 

当時、それが収録されているイーディー・ゴーメのレコードは入手がやや簡単じゃなくて、松山では買えなかったんです。それで話だけ聞いておいて、東京に戻ってからいろんなレコード・ショップでさがして見つけて買っておいたんですね。次回の帰省のときにそのマスターに持っていってプレゼンントしたら喜ばれました。すぐにその場で「ザ・ギフト」をかけていましたね。

 

それにしてもそのジャズ喫茶マスターは、そんなイーディー・ゴーメの「ザ・ギフト」がハンク・モブリーの「リカード・ボサ・ノーヴァ」と同じ曲であることに気がついていたんでしょうか。そのへんよくわかりませんが、でもぼくだって、そんな思い出のある曲なのに、最近ハンクのアルバム『ザ・ディップ』を聴いてその2曲目を初発見したような、そんな新鮮な感動を得ましたから、あまり言えないですね。

 

※ 2018年7月にこのアルバムのことを一度とりあげて当ブログで書いていることに、いまごろ気付きましたが、予約投稿済みのこの文章はこのままにしておきます。すみません。

 

(written 2019.12.28)

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