デビューしたてのヴァイブ・サルサ・コンボ 〜 ヴィブラソン
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ヴァイブラフォンをフィーチャーしたサルサ・バンドはたくさんあると思いますが、これは新人でしょうか、ヴィブラソン。2019年リリースの『Llegó Vibrasón!』がどうやらデビュー・アルバムみたいです。アメリカ合衆国西海岸で活動をしているんじゃないでしょうかね、1曲目のしゃべりで「ベイ・エリア・サルサ・バンド!」って名乗っていますからね。
サルサというかニュー・ヨーク・ラテンとヴァイブラフォンとの関係は、たぶんティト・プエンテまでさかのぼる歴史があると思うんですね。ティトはサルサのルーツのひとりにしてティンバレス奏者ですけれど、ときどきヴァイブラフォンも演奏していました。シングル盤収録曲のなかにはスタンダード・ソングのカヴァーも多く、これらの伝統が(西海岸バンドだけど)ヴィブラソンにも受け継がれているのでしょう。
ヴィブラソンの『Llegó Vibrasón!』でも実際カヴァー曲が多いんですね。「ロンリー・イン・ザ・ナイト」やスティングの「イングリッシュマン・イン・ニュー・ヨーク」「フラジャイル」などなど。それらが原曲の雰囲気をとどめないほど完璧なラテン・ナンバー化していて、これ、知らないひとが聴いたらオリジナル・ナンバーだと思うかも。かなりダンサブルで楽しい感じですね。
ラップというか語りが多く入っているのもこのアルバムの特色ですね。それらはだいたい英語です(歌は多くがスペイン語)。ほとんどの曲が踊りやすいミッド・テンポでどっしりしていて、実際楽しいし、しかしアレンジはけっこう凝っていて一筋縄ではいかない複雑なキメも聴かせます。ヴァイビストのソロはかなりジャジー、しかもジャズ・マンがよくやるスタンダードからの引用も多く、ワン・パターンかもしれないけれどなかなか聴けるものがあるんですね。
楽曲によってはインストルメンタルもあり、多彩な内容で飽きさせません。アルバム中最後の2トラックは、そこまでに収録されている曲の別ヴァージョンみたいですね。特に「ラテン・ヴァイブ・チューズデイズ」がいいです。ヴァイブ・ソロもかなり聴かせる内容だし、第一ノリが最高です。どの曲でもダン、ダン、ダダン、ダンダンといったバンド一体となったキメのリフ演奏は、やっぱりティトのマナーを彷彿とさせるもので、ぼくなんかはうれしくなっちゃいます。
(written 2020.1.24)
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