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2020/02/18

エラ・フィッツジェラルドのソングブック・シリーズ完全集を Spotify でぜひおてもとに

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https://open.spotify.com/playlist/2raa6r7LUBMZTvjdayvVYm?si=auZhGuUhRoKr7POBG4x3lg

 

以前、エラ・フィッツジェラルドのソングブック・シリーズについて書きました。「アメリカン・ミュージックの宝石箱〜エラのソングブック・シリーズ」と題して。こ〜れは、本当にすばらしい音楽なんですよ。アメリカン・ミュージックに興味がおありのみなさんであれば必聴です。
https://hisashitoshima.cocolog-nifty.com/blog/2016/02/post-b4fa.html

 

ヴァーヴ・レーベルに録音し発売されたエラのソングブック・シリーズは全八巻。デューク・エリントン・ソングブックを除きとりあげられているのはいずれも有名なティン・パン・アリーのソングライターばかりです。あの曲もこの曲もどの曲も、それらすべてスタンダードは彼らの書いたものなんですね。ティン・パン・アリーとはなにか?という説明は今日しません。ヴァーヴのエラのそれらを発売順に列挙しておきますと、

 

・コール・ポーター(1956)
・リチャード・ロジャーズ・アンド・ローレンツ・ハート(1956)
・デューク・エリントン(含むビリー・ストレイホーン)(1957)
・アーヴィング・バーリン(1958)
・アイラ&ジョージ・ガーシュウィン(1959)
・ハロルド・アーレン(1961)
・ジェローム・カーン(1963)
・ジョニー・マーサー(1964)

 

この完全集、でも CD だとけっこう大きなサイズになるんですね。コンプリート・ボックスで買えば値段も張ります。それにいまや中古でしか入手できないんじゃないですか。いかにすばらしい宝石であるとはいえ、ぜんぶを手に入れて持ちふだんから愛聴するというのはむずかしい面があるのかもしれません。でも心配することはありませんよ、いまは Spotify などサブスクリプション(ストリーミング)・サービスがありますから。

 

ぼくも上の過去記事を書いたときはまだ Spotify をやっていなくて(そもそもサービスの日本上陸前だったはず)、だからエラのソングブック・シリーズも完全集ボックスで持っている CD やそこからインポートした iTunes ファイルで聴いていました。Spotify を使いはじめてしばらく経って、このヴァーヴ・レーベルのエラのソングブック・シリーズをさがしたらちゃんとありました。全八巻ぜんぶしっかりあるんです。

 

それで、フィジカルでも完全集となって箱に入っているんだから Spotiy でもそうしようと思ってコンプリート・プレイリストをつくろうと、でもその前に念のために検索してみたら、やっぱりすでにありましたね。『Ella Fitzgerald: The Complete Songbooks』という私家製プレイリスト、どなたか存じませんがありがとうございます。フォロワーが100人以上いますね。これをぼくもふだんから愛聴させていただいております。それが今日のいちばん上のリンク。

 

ぜんぶで17時間以上もありますし、CD でだってそうですけど、ぜんぶを、あるいは一人のソングライター・ブックに絞っても、トータルで向き合って真剣に聴くなんて、しなくていいんです。そのときそのときの気分で、今日はコール・ポーターをちょっととか、明日はアーヴィング・バーリンを覗いてみようかなとか、そんな感じでその日のそのときの気分でちょこちょことつまみ食いすれば OK なんですよ。

 

つまみ食い、というかつまみ聴きですか、そういったやりかたですらも、このエラのソングブック・シリーズの真価はよくわかるものなんですね。まず曲がもとからいい。アレンジやオーケストラ伴奏も極上、そしてエラのヴォーカルのヴェルヴェットのようななめらかさ。すべてがあいまって、もう言うことなしの極上さ、超上質ミュージックじゃありませんか。

 

アメリカン・ポピュラー・ミュージックの歴史をひもときますと、19世紀なかごろのスティーヴン・フォスターら作曲家たちが楽譜出版で生計を立てるようになったあたりがその本格的なはじまりと見ていいかもしれませんが、その数十年あとになってのティン・パン・アリーの成立こそ、21世記にまで連綿と続くこの国の大衆音楽の基盤とみなすべきでしょうね。

 

いまどきフォスターの書いた曲を歌う歌手などあまりいない、新作アルバムなどにも収録されないのに対し、ガーシュウィンやアーヴィング・バーリンやロジャーズ&ハートなどなどティン・パン・アリーのラヴ・ソングズはいまだにどんどんレコーディングされている、歌手も歌うしジャズ・ミュージシャンもやる、発売されるという事実をもってしても、このことは納得できると思うんですね。

 

大衆音楽の世界ではある時期以後自分で歌う曲は自分で書く、新作アルバム用に新曲をみずから用意するというのがふつうになりましたけど、1950/60年代にブリルビルディングのソングライターたち(バート・バカラックやキャロル・キングなど)が出現したように、プロの作家たちの書く完成度の高い曲の数々は、現在でも土台になっているものなんです。そんな世界の第一人者たちだったのが19世紀末〜20世紀頭のティン・パン・アリーのソングライターたちなんですね。

 

エラのソングブック・シリーズは、そういった、アメリカン・ミュージックの豊穣な遺産を、みずからの偉大な歌唱力でもっていまに引き継ぎ具現化してくれているものなんですね。エラはジャズ歌手かもしれませんが、このヴァーヴのソングブック・シリーズはそんな狭い枠を悠々と超えています。価値が不変な普遍の音楽遺産と考えられるものなんですね。

 

ちょっと気分でちょこっと覗いてみるだけでいいです。むしろそれをオススメします。このエラのソングブック・シリーズ完全集をぜひ、てごろにアクセスできる日常においてください。ふだんの流し聴きにもいいし、ちょこっと10分、15分でもヒマができたらすこしづつ聴いてみてほしいです。エラのソングブック・シリーズこそ最上のアメリカン・ポップ・ミュージックなんです。

 

(written 2020.1.26)

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