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2020/02/12

内なる炎を静かに燃やす 〜 ダグエラ

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https://open.spotify.com/album/4mbvMFhpaWnMu1Tjv1oMzN?si=fKaUNQ_mSDeFe4BwswqyUQ

 

ダグエラ(D'Aguera)はブラジルの男女デュオで、ギターのリルカド・ラジッキとヴォーカルのベアトリス・トマス。そのデビュー作『ダグエラ』(2019)がわりといいんじゃないでしょうか。このアルバム、1曲目でのピアニストはじめゲスト参加のミュージシャンがたくさんいてその色も濃いので、デュオ・アルバムだという先入観で聴きはじめると(ぼくがそうだった)戸惑いますが、音楽的には充実していると思います。

 

ジャケット・デザインがこんな感じで、静謐な水をたたえたようなフィーリング。これは中身の音楽を端的によく表していると思うんですね。だからジャケットのこの雰囲気でこんな感じかなと想像をなさったかたは、たぶんそのままの音が聴こえるので予想どおりとの感想を持てるはず。透明感があって、ちょっとミナス音楽的なふわっと漂うような、ヴェールのような音楽をやるのがダグエラです。

 

しかしそれだけじゃないんですね。ダグエラの音楽は、内的にはけっこう激しい炎を燃やしているのが、聴けばわかります。2曲目までは静かで美しい感じで進みますが、3曲目でトロンボーンが聴こえるようになるとサンバな雰囲気が出てきていますよね。ここからのアルバムはミナスというよりサンバっぽいものを中心にして展開されています。それでも激しい快活な感じではなくて、やっぱりおとなしいんですけどね。

 

たくさんのゲスト参加ミュージシャンたちがかなりがんばっていますけど、ダグエラの二名に限って言えばヴォーカルのベアトリスがかなりいいですね。声がきれいでしょう。なんだか透き通ったような声質で、しかも張るところは張り、でも力まず声も立ちすぎずおだやかで、ヴォーカリストとしてなかなかの資質の持ち主だと思います。歌詞を歌っているときもスキャットやハミングみたいな時間もとても聴きごたえあります。

 

4曲目でギンガがゲスト参加してベアトリスとヴォーカル・デュオを聴かせているのもいいし、バンドリンをくわえてやっている5曲目でのスキャットもリズミカルで快感ですね。全体的にダグエラの音楽からは、ギターのリカルドが堅実に弾く上でヴォーカルのベアトリスがおとなしいながらも内に秘めた炎を静かにしかし激しく燃やすっていう、そういった印象を受けます。

 

アルバム終盤の7、8曲目、特に8曲目はちょっと大きめの管楽器アンサンブルと打楽器が入り、これも静かではあるけれど軽いサンバのようなノリが聴けますね。徐々に熱が上がり炎が燃え上がり、後半部でかなり熱くなっていきます。パーカッション、ホーンズ、ヴォーカルと三者それぞれのアンサンブルも激しくなって、最終的にはけっこうな高みに到達してフィニッシュします。

 

(written 2020.1.25)

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