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2020/03/11

リー・モーガン『コーンブレッド』

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3 min read)

https://open.spotify.com/album/5aY4PliFxsCd55sgU5A2KQ?si=V-IopJDPT826p2RTY3d-YQ

 

リー・モーガンのアルバム『コーンブレッド』(1965年録音67年発売)では、収録の全五曲中4曲目の「イル・ウィンド」以外はぜんぶリーのオリジナルで構成されています。そのうちオープナーになっているアルバム・タイトル曲は、完璧なる #BlueNoteBoogaloo と言えるでしょうね。この一曲だけですけど、アルバム全体がブルー・ノート・ブーガルーなんてありえないので。

 

曲「コーンブレッド」ではリズムが完璧なる8ビート・ブーガルーで、こりゃ快感ですね。リー・モーガン自身「ザ・サイドワインダー」(1963)ですっかりやりなれているもののはず。1970年代に入ったらこのファンキー・ジャズ路線がいっそう強まっていくのでした。といってもすぐに死んじゃいますけど、本当に残念なことでした。せめてあと三年生きてほしかったところです。

 

このアルバムのドラムスもまたビリー・ヒギンズで、この聴き間違えようのないスタイルですから。曲「コーンブレッド」でも冒頭からの8ビートを刻むシンバルが気持ちエエです。と同時にホーン・アンサンブルのあいだを縫って聴こえくるこのピアノの弾きかたもまた特徴的だなと思って、見てみたらやっぱりハービー・ハンコックですよ。リーに先んじること1962年に「ウォーターメロン・マン」みたいなのをやっていますからね。

 

そんなヒギンズとハービーに支えられ、「コーンブレッド」のテーマ・リフがカッコよく鳴りわたります。もうそれを聴いているだけでその時間は至福なんですね。いままでも散々くりかえしてきましたが、ぼくはこういったファンキーなジャズ・ロック系の音楽が、そりゃあも〜う、大好物なんですよね。ソウル・ジャズと呼んでもいい、どっちも同じです。同じブルー・ノートならルー・ドナルドスンの「アリゲイター・ブーガルー」とか、あのへんぜんぶ好き。

 

各人のソロとも見事ですが、左チャンネルから出るアルト・サックスのジャッキー・マクリーンの音色がひとり異彩を放つ艶やかさ。これも大した聴きものですね。続くハービーのピアノ・ソロもレベル高いです。ハービーのばあいこの1965年当時ちょうどマイルズ ・デイヴィス・クインテットの一員だったわけですけど、マイルズの音楽に当時こんなカッコいいファンキー・チューンはありませんでした。やっぱりマイルズは奥手だったんですね。

 

ジャッキー・マクリーンついでに書いておきますと、アルバム『コーンブレッド』2曲目の「アワ・マン・ヒギンズ」。リーの作曲ということなんですけど、ぼくの耳にはジャッキーが書いたものなんじゃないかというふうに聴こえるんですね。特にこの特異な和声感とその進行。ジャッキー自身のアルバムでたくさん聴ける彼のオリジナルには酷似する曲がいっぱいありますよ。いっぽうリーの曲にはこんなのないですからね。ソロでもジャッキーが一番手で目立っていますしね。どうなんでしょうか?

 

3曲目「シオーラ」はボサ・ノーヴァふう、リーがハーマン・ミュートで吹く4「イル・ウィンド」を経て、5「モースト・ライク・リー」は、テーマ演奏のサビ部だけヒギンズがアフロ・ラテン・リズムを叩くふつうのハード・バップ・ナンバー。ストレートなジャズ演奏で、ハンク・モブリーと、やはりジャッキーがいいですね。

 

(written 2020.2.9)

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