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2020/04/10

ビリー・ジョエル『ザ・ストレンジャー』の B 面がなかなか沁みる

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(5 min read)

 

Billy Joel / The Stranger

https://open.spotify.com/album/3IILMjMMnoN2sKzgesX8KV?si=cLIoFv7HThGawfPHUMA-9A

 

ビリー・ジョエルの全カタログを集中的に聴きかえす機会がありました。いくつか発見もあったので、数度に分けて書くことにします。今日はアルバム『ザ・ストレンジャー』(1977)の B 面がなかなかいいぞっていう話。このアルバム、ぼくは長年 A 面しか聴いてこなかったような気がします。だからアルバムを買って以来約40年目にしてようやく B面のことを知ったんじゃないでしょうか。遅すぎますけど、曲「ザ・ストレンジャー」や「素顔のままで」など A 面があまりにもきらびやかであることも事実です。

 

アルバム『ザ・ストレンジャー』では4曲目の「シーンズ・フロム・アン・イタリアン・レストラン」までが A 面。B 面は5曲目「ヴィエナ」(ウィーン)からなんですね。その B 面トップの「ヴィエナ」がかなりいいんじゃないですか。A 面ラストの「イタリアン・レストラン」が派手でドラマティックな展開の曲ですから、続く「ヴィエナ」の淡々とした表情がいっそう心に沁みます。

 

「ヴィエナ」についても歌詞内容のことを今日は省略して書きますが、ぼくが好きなのはこのシンプルで哀感あふるるメロディとサウンドですね。派手さはまったくありませんが、聴き手の心を打つ誠実さに満ちているような、そんなメロディ・ラインですよね。ビリーの弾くピアノも地味で味わい深いものです。ピアノ・イントロに続きリズムが出てビリーが歌い出したら、その哀感メロディに聴き入ってしまいます。ピアノ・オブリガートも効いていますね。

 

間奏ソロをアコーディオンが弾くのもいい感じ。どうしてアコーディオンなのかはわかりませんが(ウィーンを意識した?)、そのアコーディオン・ソロがこりゃまた泣けるものなんです。どういう曲なのか、たぶん人生そんなにセカセカすんな、ゆっくり歩いていけばいいみたいな内容なんでしょうか、年配者が若者に言い聞かせるような、そんな(歌詞と)人生の渋味と滋味に満ちたメロディとサウンドのこの「ヴィエナ」のその曲調に、アコーディオンの音色がとってもよく似合っていますよね。

 

正直言ってぼくは長年この「ヴィエナ」という曲のことがキライで、これが B 面トップなもんだから面の印象が悪くなって、ずっと聴かないままだったんですよね。A 面のキラキラしたフィーリングとはなんて違うのか!と、耳にするたびにケッって感じていたんです。ところがついこのあいだ A 面分に続けて「ヴィエナ」ではじまる B 面分が流れてきて、特に1曲目の「ヴィエナ」がなんですけど、なんていい曲なんだろう、小品集だけど面としてもすぐれていると、感心しちゃったんですね。「ヴィエナ」には深い感動を受けたと言ってもいいくらいです。

 

A 面が四曲なのに対し B 面は五曲ですから、その意味でも小粒揃いとも言えるんですが、一曲一曲の内容はいいです。そんなことにずっと気づいてもおらず、そもそも嫌って聴きもしなかったんですね。『ザ・ストレンジャー』では A 面分の再生が終わったらそこで止めていましたからね。なんてバカだったんでしょう。B 面2曲目「オンリー・ザ・グッド・ダイ・ヤング」以後もいいですよ。この曲「善人若死」はテンポのいい快調なナンバーですけど、続く3曲目「シーズ・オールウィズ・ア・ウーマン」はしんみりしたアクースティック・バラード。

 

そう、ビリーのアルバム『ザ・ストレンジャー』、A 面では大勢にウケそうなわかりやすいポップなヒット・チューンが並んでいるのに対し、B 面はしんみりした地味な曲が多いんですね。だからぼくは長年この B 面が好きじゃなかったんでしょうか。「シーズ・オールウィズ・ア・ウーマン」だっていま聴けばなんていい曲なんだと感銘を受けます。メロディ・ラインがオネストで心に響きますね。

 

4曲目「ゲット・イット・ライト・ザ・ファースト・タイム」はファンキーなソウル・チューンで、これなんか最高じゃないですか。ちょっぴり、いや、かなりスティーヴィ・ワンダーっぽいですし、ビートとサウンドの強靭さとファンクネスがたまりませんよね。そうかと思うとアウトロでは(地中海から)ギリシアに上陸するのでビックリします。そのギリシアふうのキラキラした高音の弦楽器サウンドは、たぶんスティーヴ・カーンが弾くハイ・ストリング・ギターとなっているものでしょう。

 

B 面ラストの「エヴリバディ・ハズ・ア・ドリーム」はパティ・オースティンやフィービー・スノウらもいる大編成コーラス隊をともなったゴスペル・ライクな一曲で、大きくもりあがります。

 

(written 2020.2.28)

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