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2020/05/24

都会的なジュニア・パーカー

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(5 min read)

 

Junior Parker / Mr. Blues

https://open.spotify.com/album/6dL0V0efzoNS1UtNrwxWaD?si=xdQMcT2dT82aaP3oCHgVEA

 

Spotify でブラブラしていてたまたま出会ったジュニア・パーカーのアルバム『ミスター・ブルーズ』。聴いてみたら楽しかったのでこれの話を今日はしますが、これはいったいなんでしょうかね、コンピレイションというかアンソロジーには違いないわけですが、2012年となっていますから近年に編まれたものなんでしょうか。ジュニア・パーカーは、基本、単発録音ばっかりなんで、こういった編纂ものがいくつもありますよね。

 

ジュニア・パーカーの録音にかんしては、Wikipedia ページが全シングル盤録音を列挙してあってとっても便利なので、ぜひご参照ください。パーソネルなんかはわからないんですけど、1952年から74年までのすべてのシングル盤について、年数とレーベル、レコード番号も明記されています。このブルーズ歌手について、こういうディスコグラフィはネット上にほかにないはず。
https://en.wikipedia.org/wiki/Junior_Parker

 

さて、Spotify で聴くアンソロジー『ミスター・ブルーズ』ですけど、ジュニア・パーカーってやっぱりこの声のトーンに特徴がありますよね。ゴージャスっていうか豊かな感じがします。でもってブルージーというよりもソウルフルで、やわらかく都会的に洗練されていますよね。このひとはメンフィスで活躍したブルーズ歌手なんで、そういった土地柄も音楽に反映されているんだなと思います。

 

アルバム『ミスター・ブルーズ』は、ブギ・ウギ・ベースのジャンプ・ブルーズ「アイル・フォーゲット・アバウト・ユー」で幕開けしますが、こういった音楽はまぎれもなく都会のものです。ジュニア・パーカーのこれでもホーンズが炸裂。当時は生演奏の管楽器隊ですから、それなりにお金もかかっているわけです。シカゴ・スタイルでのジュニア・パーカー自身のハーモニカもいい感じです。ジャジーなフィーリングすらありますよね。

 

こんな路線がその後も続くわけですが、4曲目の「フィーリン・グッド」でオッ!となるんじゃないでしょうか。これはちょっと泥くさくイナタいフィーリングも感じられるブギ・ウギで、たぶんジョン・リー・フッカーの「ブギ・チルン」の焼きなおしです。でも歌詞はそうであっても曲調というか音楽スタイルとしてはジュニア・パーカー独自のブルーズであると言えましょう。ギターはだれかなあ、パット・ヘア?いずれにせよこれにはハーモニカもホーンズもなし。

 

続く5曲目「ラヴ・マイ・ベイビー」、6「ミステリー・トレイン」は、サン録音1953年のレコードの両面でした。これらこそジュニア・パーカーの代表曲で、のちにロカビリー/ロックのスタンダード・ナンバーともなりました。おもしろいのはこれら二つ、ほぼ同一曲といってもさしつかえないんじゃないかと思えるところ。エルヴィス・プレスリーがサンで「ミステリー・トレイン」をカヴァーしましたが、その際にギターを弾いたスコッティ・ムーアは「ラヴ・マイ・ベイビー」のリフ・パターンを借用して演奏したんですよね。

 

7曲目「ドライヴィング・ウィール」でふたたびホーンズ炸裂の都会的シカゴ・スタイル・ブルーズに戻っていますが、いやあ、こういったブルーズって本当にいいですね。聴いていて楽しいし、和めます。イヤなことがあったり落ち込んでいたりしても聴けばホッとしますから。この曲でもサウンドはやはりジャジー 。ジュニア・パーカーも持ち前のヴェルヴェット・ヴォーカルを聴かせていてグッド。

 

10曲目でロバート・ジョンスンの「スウィート・ホーム・シカゴ」をやっていますがおいといて、続く11曲目、エディ・ボイドの「ファイヴ・ロング・イヤーズ」。これこそ、このアルバム『ミスター・ブルーズ』の白眉だとぼくには聴こえます。もちろん「フィーリン・グッド」「ラヴ・マイ・ベイビー」「ミステリー・トレイン」なんかジュニア・パーカーの代表作であるという事実をさしおいてのことなんですが、「ファイヴ・ロング・イヤーズ」みたいなシティ・ブルーズがこのひとの資質によく合致しているなと感じるんですね。

 

ここでは自身の吹くハーモニカもちょうどいい感じで曲に似合って都会的でありながらややエグい感じにも聴こえるし、やさしくやわらかいヴォーカル・トーンも具合いいし、それからピアノも入る楽団の伴奏サウンドも都会的でジャジーで、このエディ・ボイドの書いたシティ・ブルーズ・ソングを最高にもりたてているんですよね。個人的にはこのヴァージョンを、カヴァーの多い「ファイヴ・ロング・イヤーズ」最高の解釈だと言いたいです。1959年のデューク盤。

 

(written 2020.4.4)

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