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2020/05/14

コロナで暇?シリーズ(1)〜 もう一回観る岩佐美咲 1st コンサート DVD

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(9 min read)

 

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岩佐美咲のファースト・ソロ・コンサート(2016年1月30日、浅草公会堂)を収録した DVD『岩佐美咲ファーストコンサート〜無人駅から新たなる出発の刻』を観かえす機会がありました。テーマは、いままでに五作ある美咲のコンサート DVD を(コロナでヒマだから)もう一回観て、コンサートでしか歌っておらず CD には収録されていない曲をピック・アップして、ちょちょっと感想を記しておこうということです。

 

三年前にはじめて観たときの感想はこちら↓
https://hisashitoshima.cocolog-nifty.com/blog/2017/03/post-206d.html

 

『岩佐美咲ファーストコンサート』で聴ける、その前でも後でも CD に収録されていないワン・タイム・パフォーマンスはぜんぶで以下の四曲。

 

・アンコ椿は恋の花
・天城越え
・女のブルース
・東京ブギウギ

 

あんがい少ないなあというのが現在の印象ですね。三年前最初にこの DVD を観たときはたくさんあったような気がしていましたが、当時は美咲のことをまだあまり知らなかったためだったんでしょう。この当時は CD 未収録でもその後録音して発売されたというものだってあります。そのへんふくめ、遅れてきた美咲ファンのぼくもいまでは理解しているというわけです。

 

上記四曲「アンコ椿は恋の花」「天城越え」「女のブルース」「東京ブギウギ」は続けて歌われ DVD にも連続収録されているものの、「東京ブギウギ」はラウンド・コーナー(美咲が客席をまわり写真におさまりながら歌う)の一曲目なので、ちょっと外して考えたほうがいいかもしれません。「アンコ椿は恋の花」「天城越え」「女のブルース」の三曲はコンサート前半部におけるカヴァー・ソング・コーナーを形成していて、ある種の大プチ・クライマックスです。

 

都はるみの「アンコ椿は恋の花」は典型的ド演歌ですが、美咲はかなりうまく歌いこなしていますよね。もともとキュートでチャーミングでポップなナンバーでもあるだけに、美咲のような歌手には資質的に似合っている曲と言えましょう。どなたが曲のチョイスをしたのか知りたいところです。美咲の声には深みと可愛らしさが共存していて、なかなかの聴きものですよ。

 

この「アンコ椿は恋の花」でも実感することなんですが、美咲は歌と自身との距離のとりかたが実にうまいなと思うんですね。付きすぎず離れすぎず、ちょうどいい頃合いの適切な距離を保つことが、たぶん生まれつきできる才能を持ち合わせているんじゃないでしょうか。ときにシリアスに、別な箇所ではキュートな発声をしてみせたり、しかし全体的に歌の世界を突き放す冷静さが常に声にあります。裏を返せば歌の世界がいつもどこか他人事なのかもしれませんが、べったり入り込みすぎる歌手より心地いいですからね。

 

中村とうようさん(音楽評論家、故人)が、歌手は歌の世界に入り込みすぎないほうがいい、歌手と歌はべったりくっつかないでいるべきだ、適度な距離がないと歌がきれいに聴こえないのであるといった意味のことをどこかで書いていましたが、そんなことばも思い出しつつ美咲の『岩佐美咲ファーストコンサート』を聴いていくと、続いて石川さゆりの「天城越え」が来ます。

 

この曲なんかはわりとシリアスな歌で、さゆりはどうも感情移入しすぎなんじゃないかと思える部分があるわけですが、美咲の天然な、もとい、天才的なナチュラル&スムース歌唱法によって、さゆりとはまた違った世界を表現することに成功しておりますね。激烈な曲ですけど、美咲ヴァージョンだとさっぱり感があって聴きやすく、「あなたを殺していいですか?」なんていう歌詞も本気じゃないんだなとわかって安心です。

 

藤圭子の「女のブルース」。演歌というより歌謡曲寄りですが、ここで聴ける美咲ヴァージョンは出色のできばえです。この日のコンサートでナンバー・ワンの一曲だったかもしれないと思うほど。暗くて陰な曲なんですが、そんなところも美咲のキャラによく似合っていますね。しかし声は暗くなりすぎず、かといって明るくないちょうどよい適度な頃合いの伸びを保つという難度の高い技をさりげなく繰り出しておりますね。

 

さて「女のブルース」がこの日の出色の出来だったと書きましたが、実は「津軽海峡・冬景色」もこの日のとってもすばらしい内容ですよね。CD に収録されている既発曲ですが、この日のコンサート・ヴァージョンはそれをはるかに凌駕する完璧な歌です。美咲にとっては演歌歌手デビューのきっかけになった思い出深い一曲でくりかえし歌ってきていますが、このファースト・コンサート・ヴァージョンがぼくが聴いたなかではトップじゃないかと思えます。

 

なんたってこの日の「津軽海峡・冬景色」は音程が完璧です。一曲を通し一瞬たりともかすかにも音を外しません。さらに、声にこもる情緒感、艶や色が絶妙で、ここまでの表現をファースト・コンサートで実現できていたとは今回初発見で、驚きですらありました。この曲、昨2019年11月21日のけやきホールでも歌われたんですが、客席で聴いていたぼくは、う〜んこの曲は(思い出の曲だけど)相性イマイチなのか?と思ってしまいましたからね。そんなことなかったです。たまたまその日の体調だったんでしょう。

 

ところで今回『岩佐美咲ファーストコンサート』を久しぶりに観て、ぼくはちょっと冒頭部で泣いてしまいましたね。美咲も泣いているんですけれども。出だし1曲目が「初酒」で、イントロの演奏がはじまり幕が上がってライトが当たりそこに立っている着物姿の美咲も、人生初コンサートという不安と緊張が極大で、右手で両目の涙をぬぐっているんです。身体は小刻みに震え、顔もこわばっています。音程もフラフラ。

 

そんな美咲の姿を観ながら歌を聴いていくうちに、震え涙ぐむ美咲と同様、なぜだかぼくもまた泣いちゃったんです。どうしてだったんでしょう?美咲の姿も歌もすっかりおなじみになっているはずです。号泣というほどじゃありませんでしたが、どうして涙が出てきてしまうのか自分でもわからなかったですね。2曲目の「鞆の浦慕情」になっても涙止まらず。ホンマなんでや?

 

そんな「初酒」や「鞆の浦慕情」でも、またコンサート全体がそうなんですが、この日のコンサートは生演奏のバンドが音を出しているんですね。コンサート終盤で美咲がメンバー紹介をしているのによれば、ドラムス、ベース、ギター、ピアノ、キーボード、キーボード、ヴァイオリン。音だけ聴くとオーケストラみたいな感じがしますが、キーボード・シンセサイザーによるものでしょう。

 

で、生演奏だから CD ヴァージョン通りでは必ずしもないのが新鮮で、美咲の歌をふだん CD や歌唱イベントなどでどんどんたくさん聴いていますがどれもカラオケなんですね、だから伴奏はいつも同じ。コンサートでも二回目以後はカラオケなんです。それがこのファースト・コンサートだけはバンドの生演奏ということで、とっても聴きごたえがあってすばらしかったです。

 

テンポなんかも微妙に違っていて、幕開けの「初酒」は CD ヴァージョンよりほんのかすかにだけ遅いような気がしました。ほかにも生きているバンドの演奏だなと実感できる瞬間、時間がたくさんあり、またもう一回美咲のコンサートを生バンド伴奏で聴いてみたいと痛切に思ったりもしましたね。

 

(written 2020.5.11)

 


※【参考資料】岩佐美咲 CD 全曲リスト(アルバム収録の既発シングル曲は省略)。抜けているものがあったらご指摘ください。

 

無人駅
ヘビーローテーション(演歌ヴァージョン)
翼をください
瀬戸の花嫁
帰郷

もしも私が空に住んでいたら
フライングゲット(演歌ヴァージョン)
あじさい橋
津軽海峡・冬景色

鞆の浦慕情
恋するフォーチュンクッキー(演歌ヴァージョン)
異邦人
赤いスイートピー

初酒
履物と傘の物語
20歳のめぐり逢い
レット・イット・ゴー〜ありのままで〜(演歌ヴァージョン)

ごめんね東京
ハロウィン・ナイト(演歌ヴァージョン)
一歩目音頭
川の流れのように

鯖街道
ふたり酒
石狩挽歌
なごり雪(アクースティック・ヴァージョン)
若狭の宿
糸(ライヴ)
木綿のハンカチーフ(ライヴ)

佐渡の鬼太鼓
夢芝居
空港
下町の太陽
旅愁
手紙
大阪ラプソディー
風の盆恋歌

恋の終わり三軒茶屋
あなた
別れの予感
恋の奴隷
お久しぶりね
飛んでイスタンブール
冬のリヴィエラ
遣らずの雨

右手と左手のブルース
虹をわたって
年下の男の子
元気を出して
ふたりの海物語
ルージュの伝言

越冬つばめ
つぐない
北の宿から
ブルーライト・ヨコハマ
ハナミズキ
なごり雪
愛のままで…
待つわ
涙そうそう
ラヴ・イズ・オーヴァー
時の流れに身をまかせ
赤いスイートピー

潮来花嫁さん
学生時代
リンゴの唄
北の螢
なみだの桟橋
東京のバスガール
涙そうそう(アクースティック・ヴァージョン)


秋桜
魂のルフラン
まちぶせ
わたしの彼は左きき
千本桜
ごめんね東京(ライヴ)
初酒(ライヴ)
もしも私が空に住んでいたら(ライヴ)

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