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2020/06/10

1970年ごろのロック・バンドのように 〜 グリーン・リーフ・ラスラーズ

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(5 min read)

 

Green Leaf Rustlers / From Within Marin

https://open.spotify.com/album/5finVnezb29t3beWwuZOSJ?si=SFzIMUHtQnKhGcFKVgoBYw

 

萩原健太さんに教わりました。
https://kenta45rpm.com/2020/03/13/from-within-marin-green-leaf-rustlers/

 

知らない音楽なのに、聴きはじめた瞬間「好き!」と思えることってありますね。グリーン・リーフ・ラスラーズのデビュー・ライヴ・アルバム『フロム・ウィズイン・マリーン』(2020)もそう。編成はギター&ヴォーカル、ギター&ヴォーカル、ベース、ドラムス、(ペダル・スティール・)ギターで、あのころの、いちばん勢いがあったころの、カントリー・ロックを、サイケデリックなギター・インプロ満載で聴かせてくれるっていう、こりゃまたこたえられない音楽なんです。

 

メンバーは新人ではないそうで、各人それぞれキャリアを積んできているひとたちみたい。ギター&ヴォーカルでフロントに出るクリス・ロビンスンの発案で2017年に結成されたとのこと。クリスはブラック・クロウズ、クリス・ロビンスン・ブラザーフッドのひとですね。グリーン・リーフ・ラスラーズとしてカリフォルニアでライヴ活動を地道に重ね、今年デビュー・ライヴ・アルバムを届けてくれたというわけです。健太さん、本来領域とはいえ、こういうの見つけてくるのがうまいですね。

 

新しいオリジナル・ソングを用意するバンドじゃないようですから、アルバムでとりあげているのは2曲目を除きどれもカヴァー曲。しかもいずれも<あのころの>、つまり1970年前後の、ロック・バンドがやっていたレパートリーばかりで、こんなところにも彼らの嗜好・志向がうかがえますね。演奏スタイルだっていかにもな当時のグレイトフル・デッドそっくりのアシッド感。

 

いずれも知名度のある曲の数々は彼らにとって素材でしかなくて、とりあげかた、演奏のしかたで聴かせる、そこにオリジナリティがあるというバンドなんでしょう。長尺ギター・インプロでどの曲も構成されていますし、ヴォーカリストが曲を歌っている時間は全体のほんのちょっとです。三名いるギターリストのだれがどこのソロ?みたいなことを聴き分ける耳はないので、ただ流れてくるソロに、気持ちいいなぁ、いいサウンドだなぁと感じているだけです。

 

1曲目、グラム・パースンズの「ビッグ・マウス・ブルーズ」でブギ・ウギ・カントリーみたいな爽快な演奏がはじまっただけで気持ちよく感極まってしまいますが、特にギターですね、アンサンブルでは複数台のエレキ・ギターがからんでいて、ソロも、これだれが弾いているんでしょう、本当に好きです。しかも弾きかたというかスタイル、ギター・フレイジングのつくりかただってなんだかレトロというか、2曲目以後もそうなんですけど個人的にはドゥエイン・オールマンを思い出す部分もちょっとあり。

 

3曲目、ローリング・ストーンズの「ノー・エクスペクテイションズ」は、オリジナルとは違ってかすかなビートを効かせているのが妙味。それも印象いいですね。ペダル・スティール・ギター、ついでギターのソロも、ストーンズ・ヴァージョンとはまた異なる種類のアメリカ南部感を強くかもしだしています。ブルーズ寄りだったのをカントリー・サイドにぐっと近づけた感じですかね。

 

アルバムのクライマックスは、たぶん中盤の4「ジャム」〜5「フォルサム・プリズン」〜6「ザッツ・オールライト・ママ」のメドレーでしょう。「ジャム」は歌のないギター・インストルメンタル・ジャムで、しかしこのバンドの本領がどこにあるかを考えたら聴き逃せないものですよね。レゲエ、というか鮮明なダブ・テイストもいい味です。

 

ジョニー・キャッシュの「フォルサム・プリズン」では前半がほぼギター・インストルメンタル・ジャム。そこのパートは1990年代〜21世紀のいわゆるジャム・バンドのスタイルにも似ています。っていうかこのグリーン・リーフ・ラスラーズも(遅れてきた)ジャム・バンドなんでしょうけど。この曲はブルーズ楽曲ですけども、ブルージーさはほぼなし、もっとアシッド・カントリー色が濃厚ですね。長いですけど複数回出るギター・ソロの内容はかなりいいと思います。

 

そのままアーサー・クルダップ/エルヴィス・プレスリーの「ザッツ・オールライト・ママ」へなだれこみ。ここで聴けるギター・ソロはかなりポップですね。この曲は演奏時間約三分と、あまりジャム・バンドっぽくない短さですが、ギター・ソロに傾いている時間が長いこのアルバムのなかでは比較的ヴォーカルのほうにも配慮していてバランスがとれているかなと思います。

 

3・2クラーベのパターン(エリック・クラプトンがやったジョニー・オーティスの「ウィリー・アンド・ザ・ハンド・ジャイヴのあれ)を使った7「スタンディン」(タウンズ・ヴァン・ザント)をはさみ、ボブ・ディランの8「ポジティヴリー・4th・ストリート」では、これはもうなんといっても曲のメロディのよさが目立ちます。やっぱりディランの曲は違いますね。曲の持つ情緒がしっとりと沁みます。

 

(written 2020.4.19)

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