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2020/07/07

ジャズ・ロック?クロスオーヴァー?フュージョン?

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(5 min read)

 

「マイルス・デイヴィスのエレクトリック・ジャズはクロスオーバーを経て、後年フュージョンへと変質した」なんていうウィキペディアの文章を読むと、もうゲンナリしちゃうわけですが、そう、つまりぼくはジャズ・ロック(エレクトリック・ジャズ)、クロスオーヴァー、フュージョンといったものをあまり区別していないからなんですね。ひとによってはこれらをわりとカッチリ分けて考えていらっしゃるかもしれませんが。

 

そもそも個人的にあまりジャンル分けを細かくやりすぎないといった傾向のリスナーで、ジャズならジャズ、ロックならロックなどのなかをあんまり分割するとかえって実態から遠ざかってしまうんじゃないかという気持ちがあるのと、聴いた個人的印象としてもそんなに違わないだろうというのが実感だからですね。

 

ジャズ・ロックが1960年代後半〜末ごろ、クロスオーヴァーが70年前半、フュージョンが70年代後半〜80年代といった見方が支配的かもしれませんが、これに当てはまらない作品も多く、またこれら三つのどれに入れてもいいだろう、どれでもさほどの違いはない、と思えるばあいだってかなりあります。いままでぼくが音楽人生でこれら三つを区別してこなかった、ごっちゃ混ぜのままやってきたからいまさらムリというのが大きいんですけどね。

 

たとえばトニー・ウィリアムズのライフタイム。『イマージェンシー!』が1969年の作品ですけど、これなんかもジャズ・ロック?クロスオーヴァー?フュージョン?どれでもいいような気がしますよね。フュージョンはちょっと違うかな?と思わないでもないですが。というのはぼくのなかでフュージョンはもっとポップで聴きやすく、ある意味わかりやすい感じの音楽だったからという認識があります。

 

マイルズ・デイヴィスなんかはどうなるんですかね。『イン・ア・サイレント・ウェイ』(1969)『ビッチズ・ブルー』(70)あたりはジャズ・ロック?、というのもちょっと違う気がするからエレクトリック・ジャズ?でもこの二つは同じことを指しているような気もしますが、なんとなくのことばの感じで使い分けたくなります。

 

そうなんですよ、ほかのみなさんのことは知りませんがぼくのなかでは、こういった(ジャズ・ベースの)ジャンル融合の音楽をどう呼ぶか?は、たんなるそのときそのときの気分だとか、ことばの感じ、印象だとか、その程度の使い分けしかないんです。時代とか音楽性とかの変遷はほとんど考慮していません。というかそんな違いは聴いた感じありません。

 

マイルズのばあいだと、しかし『イン・ア・サイレント・ウェイ』『ビッチズ・ブルー』はクロスオーヴァーとも呼ばれるし、ばあいによってはフュージョンの先駆と評価されることも多いですよね。いっぽうで次作の『ジャック・ジョンスン』はジャズ・ロック、というよりかインストルメンタル・ロックと呼びたいくらいな印象です。そう、感じとか印象とか、そんなもんでしかないです、こういったジャンル用語の使い分けは、ぼくにとっては。

 

インストルメンタル・ロックとくれば、たとえばサンタナやジェフ・ベック。彼らの音楽はフュージョンと呼ぶのもやや違う気がしますね(でも入れている文章はかなり多し)。フランク・ザッパにもインストルメンタル・ロックがかなり多いですが、ザッパのばあいは現代音楽やジャズから流入しているものだってかなりあるから一概に言えないですよね。ザッパはあまりジャズ・ロックとかクロスオーヴァーとかフュージョンと呼ばれないんじゃないですか?やっぱりインストルメンタル・ロック?しかし『ホット・ラッツ』(1969)なんかはジャズ・ロックの傑作とよく呼ばれていますけどね。

 

さらに言えば、1970年前後の、特にライヴでの、ロック・バンドは、たとえばオールマン・ブラザーズ・バンドのフィルモア・ライヴなんかもそうであるように、しばしば長尺の楽器インプロを中心に音楽を組み立てていました。グレイトフル・デッドなどもそうですね。オールマンズやデッドに(クロスオーヴァーなど)ジャズ系融合音楽のタームは当てはめられません。クリームもそうですね。ジャズ的な即興演奏を意識していたとは思うんですけど。

 

オールマンズやデッドは、1990年代以後シーンに台頭したジャム・バンドの先駆ともみなされるわけで、現代のジャム・バンドにもジャズ・ミュージックからの影響はかなりありそうですね。ロック系のジャム・バンドだけじゃなく、ストリング・チーズ・インシデント(ジャズ・ナンバーをよくやる)みたいなブルーグラス系とか、ソウライヴやメデスキ、マーティン&ウッドみたいなジャズ系ジャム・バンドだってあります。

 

1990年代以後のそういったジャム・バンド・シーンに登場するバンドを、ジャズ・ロックとかクロスオーヴァーとかフュージョンとかあまり呼ばないように思いますが、ジャム・バンドという用語があるからなんでしょうかね。音楽性でいえば1970年代的なものがかなりあるように思いますから、なにか当てはめてもおかしくはないんです。フュージョンでもいいと思うんですよ。

 

ともかく、いちおうこういったひとたちはおおざっぱにジャズ系とロック系(とクラシック系)に分かれるかなとは思いますが、それでも両者が1960年代からずっと連動・連携していますし、ジャズ・ロックでもクロスオーヴァーでもフュージョンでもどれでもいい、どれに入れてもたいした違いはないんだからあまり峻別しすぎずに、ほどほどに、曖昧に行こう、とぼくは思っていますね。そのほうが音楽の実態に則しているように思いますし。

 

(written 2020.5.9)

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