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2020/08/19

音楽の残り香

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(3 min read)

 

音楽についてはすこし遅れてきたなという実感がぼくにはあります。時代の流行や先鋭的な音楽のその最盛期にはそれを知らず、そのかけらを拾い残り香を嗅いできただけなんじゃないかという気持ちがあるんですね。ジャズの昂揚を知り、ロックの受容を肌身で体験し、ワールド・ミュージックの熱気を我が事として感じていた、一世代上の先輩たちがうらやましくてたまりません。

 

たとえばぼくはマイルズ・デイヴィス・マニアを自認していますけど、ハマりはじめたのは1979年。マイルズの一時隠遁中です。新作レコードも出なかったけど、来日公演に接する機会を得たのは1981年が最初でした。その前1975年のあの来日公演を生で体験できなかったのはなんとも痛恨事なんですよね。73年とかも。あのマイルズの、あの時代の、あの音楽を実体験できなかったんです。

 

ぼくよりちょうど10歳年上の中山康樹さんとなれば、1973年の来日が初生マイルズだったそうで、もうそんなうらやましいことってないですよね。73年とか75年が初体験だった人間と復帰後の81年が初体験だった人間とでは、マイルズに接する態度や気持ち、マイルズ観もおのずと違ってくるはずでしょうからね。

 

ロックだって1960年代後半〜70年代のあの隆盛をぼくは肌身で感じていませんから。すべてが完璧なる後追いで、その時代が終わってからレコードで聴いたというだけです。ビートルズは知らないし、ストーンズだって勢いがあった時代のことは後追いです。レゲエにかんしてもそう。ずっとあとになって1980年代半ばにボブ・マーリーのレコードを買いました。レゲエのあの時代をぼくは知らないんです。

 

日本におけるワールド・ミュージック・ブームは、たぶんおおよそバブル景気とともにあったんじゃないかという気がいまではしますが、そのころもぼくはようやくリアルタイムで接することができるようになったマイルズに夢中で、ワールド・ミュージックのレコード、というか CD ですかねこのばあい、を積極的に買って情報を集めライヴなどに出かけていくようになったのは、ネットをはじめた1995年以後のことです。ネットでどんどん情報が入るようになりましたからね。ユッスー・ンドゥールのライヴ初体験は1999年のブルーノート東京だったんですから。ヌスラット・ファテ・アリ・ハーンのライヴは一度も生体験していないし。

 

そんな感じで、常にみんなが去りかけたあとに遅れて入ってきては残り香をクンクン必死で嗅いでいるだけのぼく。世代的なこともありますが、本格的に音楽にハマったのが17歳と遅かったんですよねえ。しかしですね、だからこそ現在ここまで必死で追いかけられているのかもしれません。遅れてきた後追いでしか感じられない断片やかすかな匂い、それがえもいわれぬセクシーさを放って迫ってくる、夢を見させてくれるみたいなことだってあるのかもしれません。

 

(written 2020.7.1)

 

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