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2020/08/18

キーボードということば

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(5 min read)

 

自分が大学生のころ、当時高校生でアマチュア・ギターリストだった下の弟と軽く言い合いになったことがあるんですけど、楽器でいう「キーボード」っていうことば、そもそもは鍵盤楽器の鍵盤を指すものなんだとぼくは思っていましたから、鍵盤のついた楽器、特に電子楽器はなんでもキーボードと呼べるはずと思い、実際そういう使いかたをしていたら、弟の顔に「?」マークが出て、キーボードとシンセサイザーは違うのだ、キーボードはキーボードという種類の楽器なのである、と言うんですね。

 

鍵盤はすべてキーボードなのであるというのはもちろん(ことば的には)間違いのないことなので(keyboard は鍵盤の意)、だから極論すればピアノもオルガンもチェンバロもその他もキーボードです。フェンダー・ローズだってキーボード。でもそういう言いかたをしているひとはたぶんいません。キーボードとはポータブルな電子鍵盤楽器で、使えるサウンドがプリ・セットされてあらかじめ入っていて演奏に使える楽器、そういう意味で使うんじゃないでしょうか。

 

シンセサイザーには、もちろん鍵盤型じゃないものだってあるわけですけど、たぶん鍵盤型が最もポピュラーなんでしょう、たぶん。シンセサイザー というくらいだから音を合成して新しく作ることのできるもので、電子的に音を組み合わせて合成して独自のサウンドを作ることができるという機能は、<いわゆる>キーボードにはないですよね。もちろんエレピや(電子ふくめ)ピアノやオルガンなどもそんなことはできません。

 

ここが最大の違いになってくるかなとは思います。鍵盤という定義はシンセサイザーということばにはないので、鍵盤型であってもいいけどギター型とか、いろんなのがあるというのはもちろんです。だから鍵盤シンセサイザーという意味でキーボード・シンセサイザーという言いかたをすることもあって、だからなんだかやっぱりちょっとまぎらわしいですよね。

 

っていうか鍵盤付きのシンセサイザーであれば、それはキーボードと呼んでもさしつかえないように、いまでもぼくはちょっとだけ思っていますけどね。逆も真で、いわゆるキーボードも(音色がプリ・セットされた)一種のシンセサイザーだろうと。いわゆるキーボードは音を合成することなどできずプリ・セット音で弾くしかないわけですけれども、いわゆるシンセサイザーだってあらかじめ音が何種類か付属していますからねえ。やっぱり区別は曖昧ですよね。

 

ウェザー・リポートのジョー・ザヴィヌル。ピアノやエレピも弾くし、シンセサイザーの名手でもあったわけですけど、あるときのアルバム(『ナイト・パッセージ』だったかな?)のパーソネル・クレジットで、ザヴィヌルの項に「keyboards」としか書かれていなかったこともあります。もちろんこのばあいのキーボードとは鍵盤楽器全般という意味であって、そのアルバムでザヴィヌルはシンセもピアノも弾いているんです。そういった使いかたもできることばなんですよ。

 

ピアノだってデジタル・ピアノなんかは、フル・アクースティック・ピアノの音をサンプリングして電子的に合成してそれを組み込んでいるわけですから、やっぱりいわゆるキーボードの一種であり、音を合成できないけどちょっぴりシンセサイザー的でもあるなとぼくなんかは思います。オルガンだって電子オルガンのたぐいはやっぱりいわゆるキーボードと言ってもいいですよね。言わないですけど。

 

シンセサイザーは、近年パソコンなどをつなげて使用して音楽を制作・演奏することができるようになっていますし、演奏をするというよりも、どちらかというと音作り、音楽制作という目的で使用されることが多くなっているんじゃないかという気もしますね。そういった部分はいわゆるキーボード、デジタル・ピアノなどにはできないことです。音色波形を加工して新たな音を創り出すのがシンセサイザーですよね。

 

そのほか細かいこと、たとえばデジタル・ピアノの鍵盤はボックス型でアクースティク・ピアノのタッチに近い(重く深い)ものが採用されていますけど、キーボードやシンセサイザーの鍵盤は薄くて軽いとか、鍵盤数の違いとか(多くのキーボードは61鍵、シンセはもっと少なかったり)、シンセサイザーはスピーカーを内蔵していないだとか、違いがあるにはありますね。

 

現実的に、音を作らずプリ・セット音で決められた曲をちょろちょっろっと弾いて遊んでみるといった程度だったら、やっぱりデジタル・ピアノもキーボードもシンセサイザーも大差ないんじゃないかというのが、いまでもぼくの本音だったりします。ピアノのサウンドなんか、どれでも出せますしねえ。シンセの鍵盤は、あくまで音源を操作するスイッチという位置づけですけれどもね。

 

(written 2020.6.30)

 

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