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2020/09/09

不変のバカラック・マジック 〜 EP『ブルー・アンブレラ』

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(5 min read)

 

Burt Bacharach & Daniel Tashian / Blue Umbrella

 

1. Bells of St. Augustine
https://www.youtube.com/watch?v=UyRvMeC89Oo


2. Whistling in the Dark
https://www.youtube.com/watch?v=N_jYXJw05R8


3. Blue Umbrella
https://www.youtube.com/watch?v=BMYjErRdbvA


4. Midnight Watch
https://www.youtube.com/watch?v=RfYKh7P-cZ0


5. We Go Way Back
https://www.youtube.com/watch?v=NBCJG0zEGkw

 

さてさて、以前、どうしてSpotifyで聴けないのか、YouTubeでもバラバラに存在しているだけでアルバム体裁で聴けないじゃないかなどと文句を言ったバート・バカラック&ダニエル・タシアンのEPアルバム『ブルー・アンブレラ』(2020)。グチ言っているだけじゃしょうがないですからね。あのときの文章の終わりのほうに書いたような方法で、自分のiTunes(っていうかアプリの名前はいまや “Music” だけど)でアルバムとして聴けるようにしました。
https://hisashitoshima.cocolog-nifty.com/blog/2020/09/post-986a35.html

 

だからざっとした感想を書いておきます。全五曲、基本的にバカラックが曲を書き、タシアンが歌詞を、といったおおまかな役割分担はあったみたいです。アレンジもバカラックがやっているとのクレジットがありますが、タシアンだってケイシー・マスグレイヴズのプロデュースでグラミーをもらっているくらいですから、今回のこのコラボでもトータルなサウンドの方向性を決めるのに貢献している部分があるかもしれません。

 

セッションはどうやら昨2019年のうちに完了していたという情報があるので、それが確かだとすれば、コロナ時代のオンラインでのリモート・ワークで、といったわけではなかったんでしょう。ナッシュヴィルで行われたというセッションの参加ミュージシャンやアレンジャー、エンジニアなどのクレジットは、以下のタシアンの投稿にしっかり書かれてあるのでご参照ください。↓
https://www.instagram.com/p/CDUA9xmBhxz/

 

ナッシュヴィルでセッションをやったことといい、現地のミュージシャンばかり起用していたり、発売もビッグ・イエロー・ドッグ・ミュージックからというようなこと、など諸々総合的に勘案すると、どうもタシアン主導のプロジェクトだったんじゃないかと思えるフシもありますが、中身の音楽を聴けば、これはもう完璧なるバート・バカラック・ワールド。

 

まず第一弾の先行公開曲だった「ベルズ・オヴ・セント・オーガスティン」がアルバムでもトップに来ていますが、これが本当にいかにもなバカラック的官能。「ルック・オヴ・ラヴ」とか、エルヴィス・コステロとやった「イン・ザ・ダーケスト・プレイス」とか、ああいった路線ですね。ぼくはこういうメロディとコード進行、サウンドにもう本当にメロメロで、聴けばとろけてしまうような恍惚の気分です。

 

今回のEPでは、そのほか2曲目「ウィスリング・イン・ザ・ダーク」、4曲目「ミッドナイト・ウォッチ」(これが第二弾先行公開曲だった)が同様の路線。個人的にはこういったやや暗めの、というかセクシーさ、淫靡さをかんじさせるメロディとコード展開こそバカラックがどんなソングライターよりもすぐれているところだと思っていて、聴けば本当に快感です。言ってみれば昼下がりの情事。

 

しかしバカラックの世界全体をよく見わたし、1960〜70年代に発表された名曲の数々をじっくりふりかえってみると、そういった官能ワールドはむしろ少数派というか例外ですらあって、今回のEPなら3曲目の「ブルー・アンブレラ」みたいな、ふわりとしたやわらかい陽光のもとでの明るさを感じさせる曲のほうが圧倒的にバカラックの書くものには多いです。だから曲「ブルー・アンブレラ」みたいなものにこそバカラックらしさを感じるべきかもしれません。

 

いずれの路線にせよ、2020年(といっても曲づくりと録音は2019年内に終わっていたらしいですが)になって90歳を超えても、往年の、ヒット・メイカーだったころの、バカラックのあのペンの冴えはいまだまったく不変。一度確立した黄金の世界をそのまま維持し磨きをかけ続けているだけという見方もできましょうが、聴けば感動できるこれだけの曲をいまだ書けるというのは驚異的でしょう。レベルを維持し、まったくブレないバカラック。

 

EPアルバム・ラストの「ウィ・ゴー・ウェイ・バック」だけは、クロマティック・ハーモニカ以外たぶんバカラックとタシアンだけの完全デュオ演唱。この曲のメロディ展開にもバカラックらしさ、そのマジックが横溢。ピアノのタッチだっていまだしっかりしているし、不変・永遠のソングライターだ、稀代の天才だという感を強くしますね。

 

(written 2020.8.31)

 

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