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2020/11/28

明るく愉快なラウンジ・ジャズ 〜 ルパート・クレメンドール&ジョン・バディ・ウィリアムズ

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(6 min read)

 

Rupert Clemendore, John Buddy Williams / Le Jazz Primitif from Trinidad

https://open.spotify.com/album/248iaWKUvBK7AiR3U27Tu1?si=h5DbwjBrQzu5wCA840Wa1A

 

この、スミソニアン・フォークウェイズからリリースされているアルバム『Le Jazz Primitif from Trinidad』(2012)には二種類のセッションが収録されていて、たがいにとくに関係もないみたいです。だからたんなる時間あわせというか、どっちも一方だけでは尺が短すぎるからというだけのことなんでしょうね。

 

アルバム題に出ているトリニダード・トバゴとは、後半に収録されているジョン・バディ・ウィリアムズにかんしてのことみたいですけど、あるいは前半に入っているルパート・クレメンドール(この読みでOK?ルペール・クレモンドールだったりする?)もトリニダードのジャズ・ミュージシャンなのかもしれません。

 

ともあれ、前半六曲がルパート、後半五曲がジョン・バディと、それぞれの名義録音ですね。アルバムは全体的にとってもゆるく、これはたぶん一種のラウンジ・ジャズっていうか、BGMふうっていうか、イージー・リスニング・ジャズですよね。1961年の録音である模様。

 

ジャケットがこんな感じですから、ちょっとお化けでも出てきそうなおそろしげな暗い雰囲気で、これは完璧に失敗ですね。これだけ見て聴かずに敬遠するひとも多そうです。中身を聴けば、かなりとっつきやすく明るい感じの陽気なカリビアン・テイストのイージー・ジャズなんで、もうちょっとどうにかならなかったのかこのデザインは、スミソニアン・フォークウェイズさん。

 

くつろげるラウンジ・ジャズだという側面は、特に前半六曲のルパート名義の音楽に色濃く出ていて、だから楽器がヴァイブラフォンなのでその音色もあって、ということですね。ヴァイブラフォンとパーカッションがルパートの担当楽器みたいで、曲によってヴァイブは入ってなかったり。それ(+ピアノ)+コントラバス+パーカッション、でしょうか。あ、ギターが聴こえるものも一個だけあるなあ。

 

5曲目「ザ・フライ」にはドラマーとサックス奏者がいて、+ピアノ+ベースで、ワン・ホーン・カルテットでの演奏になっていますが、そういうのはこれだけ(ドラマーだけ1曲目にもいるけど)。アルバム前半を占めるルパートの音楽でぼくのお気に入りは、特に2曲目「ボンゴ・ムード」、3「ウィー・マンボ」、6「マンボ・バッソ」あたり。パーカッションのリズムがどれもいいんですよね、楽しくて、明るいカリビアン・ジャズで。ラウンジふうで雰囲気もいいし、聴きやすいです。

 

なお、4曲目のタイトルが「ワン・ベース・ヒット」ですけど、ディジー・ガレスピー作でモダン・ジャズ・カルテットもやった同名曲とは関係ないみたいですね。でも聴いた感じ、同じくヴァイブラフォンが入っていたり、同様にくつろげる室内楽ふうなラウンジ・ジャズということで、共通点がまったく見いだせないわけでもなさそう。ムードがちょっと似ているんじゃないですか、ルパートとMJQ。

 

キューバン・ジャズなテイストも感じられたアルバム前半のルパートの音楽に比し、後半のジョン・バディ・ウィリアムズの五曲は、わりと鮮明なトリニダード・カラーに染まっていて、これらはかなりはっきりしたカリプソ・ジャズですね。シリアスなというかシビアな音楽リスナーにはこの後半のジョン・バディの音楽のほうが歓迎されそうです。

 

ジョン・バディの音源は、リズム隊+複数人数(大編成というほどでもなさそう)のホーン・セクション+ヴォーカル・コーラスという編成によるもので、リズムもそうだけどぼく的にはホーン・アンサンブルの楽しさがグッと来る感じ。リズム・スタイル、アンサンブルのハーモニー、メロディの音階というか動きなど、すべてトリニダードのカリプソがベースになったジャズです。

 

アメリカ合衆国のモダン・ジャズがお好きなみなさん向けにてっとり早く解説すれば、かのソニー・ロリンズの「セント・トーマス」(『サクソフォン・コロッサス』)、あれにそっくりだということになります。ロリンズの両親は、トリニダードではないけれど西インド諸島にあるヴァージン諸島の出身で、ソニーも子ども時分からカリブ音楽には親しんでいたんだそう。

 

きょう話題にしているこのアルバム後半で聴けるジョン・バディ(ベーシスト)の音楽には、ジャズといえどアド・リブ・ソロのパートはあまりなくて、ほぼ全面的に譜面化されたアレンジを演奏しているのも大きな特色ですね。譜面はボスのジョン・バディが書いているのかどうかわかりませんが、その際に同地のカリプソ・カラーを全面的にとりいれようとしたんでしょう。アメリカ合衆国のジャズ・ミュージシャンがやるカリビアン・ジャズとは比較にならないすばらしさですね。ダンサブルだし。

 

スミソニアン・フォークウェイズがつけたアルバム題には “Primitif” とのことばがありますが、とんでもない、かなり洗練された進んだ音楽です。

 

(written 2020.9.29)

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