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2021/01/26

スタンリー・タレンタインの「マイ・シップ」〜『ジュビリー・シャウト!!!』

Jubileeshoutcover

(4 min read)

 

Stanley Turrentine / Jubilee Shout!!!

https://open.spotify.com/album/2CGSc6ZbHcGWjWYl07KCd4?si=Gt-qAciDRDmmWzPZbzRwPg

 

こないだなにかのきっかけでふらりと通り過ぎたスタンリー・タレンタインのアルバム『ジュビリー・シャウト!!!』。録音されたのは1962年ですが、当時は発売されず。日の目を見たのは1986年のことです。Spotifyので見る6曲目までがオリジナル・アルバム分。

 

ぼくが気になったのは、きっと2曲目で「マイ・シップ」をやっているからでしょうね。クルト・ワイルの書いたこの曲、もうほんとうに大好きで、そのきっかけはマイルズ・デイヴィス+ギル・エヴァンズの『マイルズ・アヘッド』(1957)に収録されているヴァージョン。ほんとうにすっごくきれいなんですよ。
https://open.spotify.com/track/7fDzQMMq9Y91UMvICmYNUK?si=9WPsWqJqQyOvs8w0UOXYJg

 

それで「マイ・シップ」という曲そのものが大好きになってしまったわけで、歌手やジャズ演奏家がやっていたりするともれなく聴いてしまうっていう、そんな愛聴曲だから、スタンリー・タレンタインがやるとどうなるのか?っていう興味で『ジュビリー・シャウト!!!』も聴いたと思います。

 

はたしてスタンリー・タレンタインのやる「マイ・シップ」は、というと、イントロとアウトロでやはりアレンジが付与されていますけど、これはピアノで参加しているソニー・クラークのペンになるものじゃないかという気がします。若干エキゾティックに響かないでもない雰囲気ですね。ギルも踏襲したオリジナル・ヴァージョンのそれを意識した感じがします。

 

冒頭それに続いて出るスタンリーのテナー・サックスは、フェイクせずストレートに「マイ・シップ」のメロディを歌っていますよね。好印象。こういった美しい旋律は手をくわえないほうがいいんですよね。それにしてもきれいなメロディだなあ、この曲。だれが演奏してもそう感じますから、やっぱりもとからいいんですね。いやあ。

 

スタンリーがワン・コーラスのメロディ吹奏をきれいに決めたあとは、ケニー・バレルのギター、トミー・タレンタインのミュート・トランペットと、短めのソロが続きますが、どこまでもこの雰囲気をこわさないようにと配慮しているのがうかがえますね。そのままふたたびスタンリーのテーマ吹奏となって、イントロと同様のアウトロになります。うん、このヴァージョンもきれいでした。

 

アルバムのほかの曲は、やっぱりスタンリーらしいファンキーで泥くさいブルーズ・チューンが中心になっているようです。1曲目「ジュビリー・シャウト」も一部ラテン・リズムを使い4ビートと行き来させているブルーズ・ナンバー。同じく10分以上もある5曲目「コットン・ウォーク」はダウン・ホームなスロー・ブルーズです。

 

大勢のリスナーのみなさんにとってはそれらこそこのアルバムでの聴きものということになりそうですね。そのほかの曲もふくめ、ファンキーなソウル・ジャズ・グルーヴと言っていい内容で、いかにも1960年代のスタンリー・タレンタインだけあるっていう作品です。

 

「マイ・シップ」以外で個人的に耳を惹かれるのは、オリジナル・アルバム・ラストだった6曲目のバラード「リトル・ガール・ブルー」。ロック歌手ジャニス・ジョップリンも歌ったかわいいスタンダードですが、ここでのスタンリーは都会のアダルトな夜の雰囲気満点でムーディーに吹いているのが印象的ですね。

 

(written 2020.10.30)

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