ツェッペリンのブルーズ・ナンバーを集めてみた
(5 min read)
https://open.spotify.com/playlist/0ycILYcYH0u3o1UNEEftrU?si=IDISEw4xQsGQOo3V1qNIkA
レッド・ツェッペリンのブルーズ・ナンバーだけを抜き出して、Spotifyで一個のプレイリストにまとめました。それが上のリンク。厳密な定型12小節3コードものだけにしておこうかと最初は思っていたんですけども、それで聴いてみたらあまりおもしろくないものができあがってしまったので、ちょっとしたブルーズ変型やリズム&ブルーズ調も入れました。
やっぱりバンドの活動前半期が中心になるのか、というとあんがいそうでもなく、いちばんたくさん選ばれているアルバムは『フィジカル・グラフィティ』ですよね。このへんは、ある程度ブルーズ・フォーマットにこだわったからというのもあります。ブルーズ・ベースの曲という幅広い意味でならたしかに初期に多し。
1960年代デビューのブルーズ・ロック・バンドなんだから定型ブルーズやそれっぽいものばっかりだろう、なにをいまさら、と言われるとわりとそうでもないんだというのも、やはり発見でしたね。フォークやトラッドなど、英国のさまざまな音楽要素が溶けあってできあがっていたバンドだったのを再確認しました。
このプレイリスト中、特に好きだという数曲の話をしておきましょう。まず『コーダ』(1982)収録ヴァージョンの「アイ・キャント・クイット・ユー・ベイビー」。1969年のライヴからなのでこの位置ですが、これ、どう聴いてもファースト・アルバム収録のスタジオ・ヴァージョンよりいいでしょう。はるかにいい。ジミー・ペイジのギター・サウンドもソリッドだしソロは聴かせるし、ロバート・プラントの声も飛翔しています。
プレイリストだと続いている次の「ザ・レモン・ソング」(『II』1969)。剽窃しまくりのパクリ曲なでそこはちょっとあれですけど、ツェッペリンの全キャリアで定型12小節3コード・ブルーズのなかでは個人的にいちばん好きかも。たぶんそれは最高にブルージーだからですね。いかにも1960年代UKブルーズ・ロックという香りがします。中盤のペース・ダウンしたパートでのジョン・ポール・ジョーンズのベースのうまさにも刮目すべき。
「ロック・アンド・ロール」(四作目、1971)。歌の部分が24小節でギター・ソロだけ12小節という構成ですが、ロックンロールがまぎれもないブルーズであることを、ここでもまた実感できますね。この曲はあとに続く多くのロック・バンドがカヴァーしているし、アマチュア・バンドにとってもスタンダードでした。爽快で文句なし。
アルバム『フィジカル・グラフィティ』(1975)から選んだものはどれも好きですが(そもそもこのアルバムのことが大好き)、なかでも「カスタード・パイ」。これも剽窃しまくりの一曲ですが、このファズで歪めまくってグチャっとつぶれたエレキ・ギター・サウンドがたまらない快感です。3・2クラーベのリズム・パターンを応用したリフのビート感も心地いい。プラントのハーモニカもアンプリファイドされ歪んでいて最高ですね。
「ブギ・ウィズ・スチュ」と「ブラック・カントリー・ウーマン」は、アルバム編集の妙で、ぼくのなかではメドレーというかひと続きのものとして認識されています。どっちもアクースティックな音像が楽しいですね。前者でピアノを弾くスチュとはローリング・ストーンズのイアン・スチュワート。後者ではジョンジーの弾くマンドリンもいい感じ。
『プレゼンス』(1976)から選んだ「キャンディ・ストア・ロック」はロカビリー調で、これまた大好き。それでいながらかすかにラテンなリズム・シンコペイションも効いています。『イン・スルー・ジ・アウト・ドア』(1979)ラストの「アイム・ゴナ・クロウル」はブルーズではなくリズム&ブルーズ調バラードですけど、切なくていいですよねえ。シンセサイザーだけどストリングスもきれい。
(written 2021.1.28)
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