ジンボ・マサスとアンドルー・バードのアメリカーナ・プロジェクト
(2 min read)
Jimbo Mathus, Andrew Bird / These 13
https://open.spotify.com/album/5e7me68eSPsVkbQoGdpEkh?si=M0N1WaPkTnuM8CYRWDqiVw
萩原健太さんの紹介で知りました。
https://kenta45rpm.com/2021/03/05/these13-mathus-bird/
ジンボ・マサスとアンドルー・バードのつきあいはなかなか長いものらしく、ジンボ率いるレトロ・ホット・ジャズ・バンド、スクィーレル・ナット・ジッパーズに1990年代からアンドルーはゲスト参加していたそう。そのころのジッパーズをぼくはまだあまり聴いていないんだなあ。
その後もずっとくっついたり離れたりしながら関係は続いていたみたい。今年になってこのデュオでの新作『ジーズ 13』(2021)を届けてくれたのは、やっぱりコロナ禍で自己のルーツを見なおすみたいなムーヴメントの一環なんでしょうか(と思ったらちょっと違うみたい)。
端的に言ってこの『ジーズ 13』はジンボとアンドルーによるアメリカーナ・プロジェクトとみていいでしょうね。オール・アクースティックな生演唱で、ジンボがギター、アンドルーがフィドル、そして二名のヴォーカルと、曲によってやはり二名によるバンジョー、マンドリン、ピアノ、足踏みオルガンがくわわるだけ(最後の曲だけストリング・カルテットが参加しています)。
曲はぜんぶジンボとアンドルーの共作新曲ですが、完璧にトラディショナル・スタイル。フォーク、トラッド、アパラチアン、ブルーズなどが渾然一体となったアーシーな音楽性で、もうきわめて地味な滋味深い音楽。たった二人だけでスタジオの一本のマイクの両側に陣取り、録音したそうですよ。まるでコロナ禍での内省を反映したかのような雰囲気なんですが、実は2019年と、20年初頭に録音は終わっていたんだそう。
しかし、大恐慌時代を思わせる悲嘆、落胆、喪失感、孤独感などに深く踏み込みながら、それらを巧みにコロナ禍の現代へと二重写しにしていくような曲群と演奏の展開は、どう聴いても2021年的です。近年のボブ・ディランあたりが好きで高く評価しているみなさんには、これ以上ピッタリくる音楽もなかなかないんじゃないかと思いますよ。
(written 2021.4.16)
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