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2021/04/14

宇多田ヒカル以来の天才 〜 藤井風

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(4 min read)

 

藤井風 / HELP EVER HURT NEVER

https://open.spotify.com/album/03QiFOKDh6xMiSTkOnsmMG?si=ncPu8Z5aSvqKRD1DH3l0iQ

 

岡山語で歌う藤井風。売れているみたいですよね。咋年夏の発売だったアルバム『HELP EVER HURT NEVER』(2020)が、なんでも今年一月にはアルバム・チャートの首位に立ったみたいですから。そのニュースを目にしたころ、ぼくはもうすっかり風に夢中で、ヘヴィロテ中。

 

昨夏に知った当初は、とっつきにくい天才で距離を感じるなと思い、ちょっと敬遠していた藤井風なのに、もうそんなことがまるでウソみたい、いまではそんなこと全然なくなって、もうほとんど毎日、それもくりかえし、聴きまくっているというようなありさま。完全にノック・アウトされました(時間のかかるぼく)。

 

風のこのデビュー・アルバムのどこがいいって、これもやっぱり曲と声ですよね。三分の一くらいは既発曲だったみたいですが、すべて初体験だったぼくにはもうどれもこれも衝撃で。コンテンポラリーなR&B(アーバンということばがよく使ってありますけど、この「アーバン」はブラック・ミュージックに言及するばあい人種差別的な意味合いを帯びるので、ぼくは言いません)なんですけど、そのリズムとサウンドに岡山語の日本語詞を乗せていく感覚はまさしく天才的。

 

個人的にこのアルバムで特に気に入っているのは終盤9曲目の「風よ」なんですけど、風自身の弾くアクースティック・ピアノのこの都会的にジャジーな(ちょっとAORふうの)雰囲気のイントロからしてもう降参。ピアノ一台の伴奏でまず歌い出した部分だけで、もうメロメロになっちゃうんですね。曲のメロディが飛び抜けて秀逸だし(ちょっと1970年代歌謡曲的)、それをつづる声も抜群にセクシー。コントラバスとドラムスが入ってきたら、もう夢見心地。

 

風は、アルバムのなかで曲ごとに、あるいは一曲のなかでも、さまざまに声の表情を変化させています。きのう書いた米津玄師もそうだったんですけど、こういったあたりはこの世代の歌手の一つの共通特性なんですかね。優しいソフトな歌いくちかと思うと、強い調子でべらんめえスタイルになってみたり、またあるときはセクシーなハスキー・ヴォイスだったり、などなど。

 

R&Bな1曲目「何なんw」、ヒップ・ホップ調の2「もうええわ」、ヒップ・ホップ・バラードな3「優しさ」など、これら既発のシングル曲だったものもよく練り込まれたすぐれた楽曲です。アルバム曲では、たとえばホーン・セクションを使ってあるちょっとジャジーでラテンな感触もある5「罪の香り」、歌謡曲ふうでもある6「調子のっちゃって」、ロー・ファイ・ヒップ・ホップを意識したであろう7「特にない」、そしてなんといってもトラップ・ビートを使った8「死ぬのがいいわ」など、いずれもコンテンポラリーなサウンドに耳残りする歌詞のマッチングが絶妙すぎます。

 

藤井風について「日本語を自在に操るメロディーを身体で知っている」と評したひとがいるそうですが、まさにねえ、ここまでの才能は10年、20年に一度の存在じゃないかと思えます。ほんとうに衝撃のデビュー・アルバム、日本歌謡界に出現した稀有な天才でしょう。しかもなんだか(自覚的というより)テンネンっぽいwのもいいです。

 

(written 2021.2.15)

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