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2021/04/22

クラブ系グナーワ・ビート 〜 ラビ・ハルヌーン&V・B・クール

Rabiiharnounevbkuhl

(3 min read)

 

Rabii Harnoune, V.B. Kühl / Gnawa Electric Laune

https://open.spotify.com/album/3BuCU5sCIKwbIgOcw7POKI?si=M5iLeWmNSlSjqSGZEv6Ftg

 

モロッコの若手グナーウィ、ラビ・ハルヌーンと、ドイツのプロデューサー、V・B・クールが組んだアルバム『Gnawa Electric Laune』(2020)がちょっとおもしろいんじゃないでしょうか。ラビがゲンブリ&ヴォーカル、VBがエレクトロニクス担当です。カルカベや生の打楽器も聴こえますけど、それらはだれの演奏?

 

ともあれ、ラビのゲンブリ&ヴォーカル弾き語りをあくまで基本としながらも、そのグナーワ・ミュージックの魅力をより現代的に世界に拡散させたいという本人の意向で、VBが音響面の補強をやっているコラボ・アルバムだと受けとることができますね。ムーンチャイルドやクオンティックを擁するTru Thoughtsからのリリースです。

 

ディープなルーツ・グナーワを原型としつつ、そこに現代的なサウンド処理を施していくというのは、すでに1990年代からハッサン・ハクムーンもやっていたし、マフムード・ガニアもチャレンジしていたということで、いまさら目新しい試みではありません。彼らはそれなりの成功もおさめてきました。

 

ラビ&VBのこのアルバムだと、それをもっとグッと現代的なクラブ・ミュージック趣向に寄せたという感じがします。それで親近感を増し、グナーワなんてものになんの興味もない、知りもしない、というクラブ・ミュージック・ファン向けにも聴きやすい音楽に仕上げたということは言えるでしょう。

 

んで、実際聴いていたら、これ、なかなか気持ちいいんですね。ラビのゲンブリとヴォーカルの線がやや細いような気もしますが、この種の音楽にはこれくらいでちょうどいいのかもっていう気がします。もしこれ、VBのエレクトロニクス抜きでラビの弾き語りだけだったら物足りないグナーワ作品に聴こえてしまっていたところかもしれませんけどね。

 

だから、いい感じに聴こえる最大の要因はやはりVBの貢献です。低音ビートや鍵盤ベースを付与したり、ただでさえゲンブリがベース役なんですけどそこにベース音をさらに足すことで、独特の音響を生み出すことに成功しています。ビート、というか打楽器音の処理も、出すぎず、かといって足りないという程度でもなく、ちょうどいいクラブ・ビート感をくわえていますよね。エレピ等のサウンド・エフェクトもグッド。

 

VBがでしゃばりすぎないちょうどいい節度でエレクトロニクス・サウンドをくわえることで、ラビのグナーワ・ミュージックの、それだけだとちょっと物足りないかもしれない魅力を増大させることに成功していると言えましょう。1、2、9曲目など、あくまでゲンブリのトランシーなサウンドの魅力をきわだたせるよう配慮されているプロデュースで、好感が持てますね。

 

(written 2021.1.26)

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