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2021/04/21

シャーリー・スコット『ワン・フォー・ミー』の再発を聴いた

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(4 min read)

 

Shirley Scott / One for Me

https://open.spotify.com/album/6jDl0uJPjIWg66xI7c7Vff?si=bQ1ID1GnQua5K4_UyqBr5A

 

昨年のリイシュー・トピックのひとつに、オルガン奏者シャーリー・スコット『ワン・フォー・ミー』(1974年録音75年発売)の再発ということがありました。ジャケットも変更して、アーク(Arc)というところが発売したんですね。サブスクにも入りました。こりゃどう見てもリイシュー・ジャケのほうがいいです。

 

シャーリー・スコットは、テナー・サックス奏者スタンリー・タレンタインのパートナーでしたよね。1960年代の話で、私生活でも仕事面でもコンビを組んでいました。『ワン・フォー・ミー』録音のころには別れていたんじゃなかったでしょうか。

 

とはいえ音楽性がそんなコロッと変わるわけもなく、『ワン・フォー・ミー』でもやはりソウル・ジャズ路線をそのまま継続。しかし1970年代だけあるっていう時代性も発揮していて、それは主にジャズ・ロックっぽいノリと、ブラジル音楽ふうなリズム処理に聴きとることができます。

 

それからシャーリーのリーダー作とはいえ、目立っているのはテナー・サックスのハロルド・ヴィックで(ドラムスがビリー・ヒギンズというトリオ編成)、ハロルドの演奏が大きくフィーチャーされています。ちょっとジョー・ヘンダスンっぽいフィーリングのハロルド、それ+ちょっと泥くさめのR&B的な陰影もつけながらソウルフルに吹いていて、かなりいいですよね。

 

ちょうどこの1970年代半ば、ハロルドはずっとシャーリーと活動をともにしていました。ビリー・ヒギンズはこのアルバムのための起用でしょう。ヒギンズは1960年代から8ビートのジャズ・ロック〜ボサ・ノーヴァ調のものを得意としてきたドラマーですから、その持ち味がこの『ワン・フォー・ミー』でも活きています。

 

アルバムの曲は、どれもシャーリーかハロルドの自作で、ビートの効いたジャズ・ロック、ボサ・ノーヴァ調のものばかり並んでいます。なかでやや異質なのはストレート・ジャズ・ナンバーの4曲目「バット・ジョージ」でしょう。シャーリーの曲となっていますが、あきらかにジョン・コルトレインの「ジャイアント・ステップス」から借用して、そのコード進行をそのまま使っています。上物のメロディを入れ替えただけ。

 

そんなわけで「バット・ジョージ」でもテナーのハロルドが主役。トレインばりにうねうねと吹きまくる手腕に感心します。シャーリーのオルガン・ソロもストレート・ジャジーで、このアルバムのなかではちょっとめずらしい部類ですね。ヒギンズのドラムス・ソロまであるっていう。しかしこの曲、メロディすらも「ジャイアント・ステップス」調だし、なにもクレジットしなくてよかったんでしょうか。

 

個人的にはじんわりボサ・ノーヴァふうな(リズムを使っただけだけど)1、2曲目のちょっとした軽いジャズ・ロック〜クロスオーヴァーな、でありかつほんのり薄いソウルフルで、しかもおしゃれな都会的雰囲気もあるっていう、そんなテイストが大のお気に入りになったリイシュー・アルバムなのでした。

 

2曲目のテーマ演奏部分ではやや大きめのホーン・アンサンブルが起用されています。

 

(written 2021.1.25)

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