面食い事情 〜 美ジャケ好き
(4 min read)
そう、面食いなんですね、ぼくは、音楽にかんして。といっても美人やイケメンがいいという意味ではなく(それでもいいけど)、美ジャケっていうやつが好き。ジャケットを一目見て、な〜んてきれいなデザインなんだと惚れちゃって、それで聴いてみるということが実に多い人間なんです。
上に四つタイルして掲げた画像は、いずれも今2021年に入ってから出会った美ジャケ。どれもきれいでしょう。これらはぜんぶジャケットを一瞥しただけで好きになってしまって、つまり一目惚れで、中身を聴く前から好きになってしまい、それで聴いてみたら中身もよかったというものです。
もちろんものによってはですね、ジャケットがきれいだからと聴いてみたら音楽にはガッカリしたというばあいだってありますし、その逆につまらないジャケだな、聴く気にならないなと感じても、ちょっと覗いてみたら中身はサイコーだったというものだってあります。
だから一概に言えないっていうか、音楽ですからね、「聴いてみるまでわからない」というのがいつでも真実ではありますが、それでもある程度はですね、いや、かなりな程度までか、音楽アルバムやシングルなどでも「顔」ともいえるジャケットの印象が支配するという面があるでしょう。
「顔」ということばを使いましたが、歌手や音楽家の顔というか容姿でそのひとの音楽の価値を判断しちゃならん、それはルッキズムで、ダメな態度だ、と前から強調しているにしては、ぼくはわりとジャケットの見た目の印象に左右されやすい人間なのかもしれません。そんなことじゃいけないよねえ、と自分を戒めたりすることもあるんですけど。
それでもレコードやCDとかだと(ネットのでも)ショップなどで買うわけでしょう、いくらかのお金を出して。だからそのために買うか買わないかの判断をしないといけなかったでしょう、フィジカル時代は。だからジャケットも大きな判断材料だったんですよ。
しかしいまやサブスク時代。些少の定額で聴き放題ですから、どんなもんか?とちょっと試し聴いてみることが実にイージー&カジュアルになりました。このおかげで、ジャケットの印象いかんにかかわらずとりあえずちょっと聴いてみようと思えることが増えましたから、いいことですよねえ。これもサブスクのメリットの一つでしょう。もちろんパソコンやスマホの画面でジャケットを見て惚れるということもいまだやはり多いです。
それで惚れちゃったジャケット・デザイン、美しいなと感じたデザインの音楽アルバムは、実を言うと聴くためではなく部屋のインテリアとして飾るためにフィジカルを買って持っておきたいなと思うことがまれにあります。このばあい、装飾が目的ですからCDよりもレコードでほしいかもということです。なんだったら盤なしのジャケットだけでもオーケー。
実際、このために最近レコードで買ったアルバムもちょっとだけならありますし、CDでも以前から眺める用にだけ買ったものがあります。上で四つタイルした画像のアルバムでも、パトリシア・ブレナンの『Maquishti』とかアヴィシャイ・コーエンの『Two Roses』なんかは、中身も傑作だったけどジャケットもみごとに美しいと惚れちゃって、まだフィジカルは買っていませんけど、たぶん今年中にレコードを(CDじゃなく)買うかもしれません。部屋に飾るために。
聴くんだったらサブスクで、部屋のインテリアにするための物体として所有するんだったらレコードで、っていう二本立ては、だからいまアナログ・レコードがふたたび人気であるようにみえる一因なのかもしれませんね。
(written 2021.5.6)
« 単数のthey | トップページ | 『ゲット・バック』は、ビートルズ流ルーツ・ロック志向だったのか »
「音楽(その他)」カテゴリの記事
- とても楽しい曲があるけどアルバムとしてはイマイチみたいなことが多いから、むかしからぼくはよくプレイリストをつくっちゃう習慣がある。いいものだけ集めてまとめて聴こうってわけ(2023.07.11)
- その俳優や音楽家などの人間性清廉潔白を見たいんじゃなくて、芸能芸術の力や技を楽しみたいだけですから(2023.07.04)
- カタルーニャのアレグリア 〜 ジュディット・ネッデルマン(2023.06.26)
- 聴く人が曲を完成させる(2023.06.13)
- ダンス・ミュージックとしてのティナリウェン新作『Amatssou』(2023.06.12)
コメント