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2021/06/23

マーデ・クティのデビュー作は、現代ロンドン・ジャズ

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(5 min read)

 

Femi Kuti / Stop The Hate

https://open.spotify.com/album/5ZJLYgPBDEJkhbaVnq81w3?si=mw87jeHQSD6-Caa0FpaGGg&dl_branch=1

 

Made Kuti / For (e) ward

https://open.spotify.com/album/0XVTcJibAWaDJHRrb99N7l?si=_sca-phPTUyqkAhyBfpf-A&dl_branch=1

 

今年二月ごろだったかな、フェミ・クティと、その子マーデ・クティのアルバムが二枚組で発売されましたよね。ニ枚組で、というのはあくまでフィジカルでは、という話であって、サブスクではバラバラ。だからどっちかを聴きたくなければ自由にできるし、セットで聴きたいひと向けに『レガシー+』(2021)もあるし、というわけで、いいですよね、サブスク。

 

個人的にはフェミに対してあまり否定的感想を持っていないので、今回フェミのほうの『ストップ・ザ・ヘイト』(上の写真で赤いほう)も、マーデのデビュー作とあわせて聴きました。『レガシー+』で聴いたり、バラで聴いたりなど、さまざま。

 

で、以前この記事で、さもフェミに対して否定的意見をぼくも持っているかのようなコメントがついてしまいまして、それはそれでOKなんですけど、でもぼくの記事の書きかたがよくなかったんだろうなあと、ちょっと反省しています。誤解を生んだということで。
https://hisashitoshima.cocolog-nifty.com/blog/2018/04/post-0754.html

 

不肖の息子、だらしない兄で悪いのか?というのは、ぼく自身そうだからなんで、だからフェミに対する共感のつもりだったんですけどね。そう、音楽的にもぼくはフェミに対しネガティヴな感想を持っていないどころか、わりと好きですね。

 

アフロビートとしてはヴォーカルが弱いというのはたしかにそうかもしれないけれど、そこはあんまり聴いていなくて、バンドのサウンド、ノリが好きなんですよね。今年の『ストップ・ザ・ヘイト』でも、アフロビートとジャズ・ファンクとの境目がわからないようなサウンドは健在。ポリティカルだったり社会派な歌詞、メッセージ性は意識していなくて、サウンドやリズムが楽しいなと感じているだけ。

 

つまり、ジャズ・ミュージックを聴くときと同じアティテュードでフェミの音楽も聴いているんですけど、そうすると、その子マーデのデビュー作『For (e) ward』(前進&序文)は、その路線でよりよく楽しめるような気がするから不思議です。

 

なんというか、マーデのアルバムのほうは、もはやアフロビートということを言う必要もないと思うんですよね。祖父フェラの音楽や姿勢を継承云々といったことをこの音楽に聴きとることはかなりムリヤリな気がして、それよりも、現代ロンドンのジャズなどブラック・ミュージック・シーンの文脈に置いてみたとき、作品のよさがよりよく理解できるんじゃないでしょうか。

 

だから、マーデのアルバムのほうはもはやアフロビートじゃない。フェラのそのDNAを伝える音楽でもなく、2020年代的新世代ブラック・ミュージックとして聴いたほうがいいかと。全員集合の合同肉体生演奏こそ命のアフロビートなのに、マーデはこの作品、ぜんぶの楽器とヴォーカルをたったひとりで多重録音したんだそうですからね。

 

むしろ現代ロンドンのブラック・ジャズの文脈で聴くときに価値を発揮するようにぼくには思えるマーデのデビュー作。祖父が偉大で、それを継いだ父も有名人というわけでですけど、ぼくら聴き手までもそのくびきに囚われている必要などないんじゃないですか。伝統芸能みたいに世襲で伝えていくものじゃないんだし、そんな目でマーデを見ちゃいけません。

 

去年の秋に『ブルー・ノート・リ:イマジンド』というコンピレイション・アルバムが出ましたが、現代の若手UKジャズ〜R&Bの音楽家たちが一堂に会し、往年のブルー・ノート・クラシックスに新しい解釈を施して再演するというもの。ジョルジャ・スミス、ジョーダン・ラカイ、ヌバイヤ・ガルシア、ヤスミン・レイシー、シャバカ・ハッチングズなど参加していました。
https://open.spotify.com/album/5afRcZQsR5aBGltG3kIM34?si=wlfrUxHSQrydnqHIvzytSQ&dl_branch=1

 

マーデ・クティのデビュー作『For (e) ward』は、そんな流れのなかにある音楽だとぼくには聴こえます。そして、だからこそ、アフロビートというよりジャズ・ファンクであるフェミの最新作とセットでリリースした意味も、みえてきそうですよ。

 

(written 2021.6.21)

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