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2021/07/29

マイケル・ブレッカー大活躍 〜 ハービー・ハンコックらの『ディレクションズ・イン・ミュージック』

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(4 min read)

 

Herbie Hancock, Michael Brecker, Roy Hargrove / Directions in Music: Live at Massey Hall

https://open.spotify.com/album/5ZAgaqdu1Gh7GR23qZSIWU?si=wm0isPHvSAmigTa6m2ttsg

 

ハービー・ハンコックらのライヴ・アルバム『ディレクションズ・イン・ミュージック:ライヴ・アット・マッシー・ホール』(2001年録音02年発売)。いちおうハービー、マイケル・ブレッカー、ロイ・ハーグローヴと三人連名の作品ですけど、どう考えてもリーダーシップをとっていたのはハービーでしょう。

 

このアルバム、長年ずっと無視してきたんですけど、でも部屋のなかでCDジャケットの見憶えがありますからね、発売当時買ってちょこっと聴いたのは間違いありません。そのときの印象があまりよくなかったせいでずっと放りっぱなしになっていただけで。

 

2002年当時興味を持ったのは、もちろんマイルズ・デイヴィスとジョン・コルトレインのレパートリーをたくさんやっている、いわば一種のトリビュート・アルバムみたいなものだからです。実際、副題に “Celebrating Miles Davis & John Coltrane” とありますしね。

 

ベースはジョン・パティトゥッチ、ドラムスはブライアン・ブレイドが務めているこのライヴ・アルバム、いくつかの意味でマイルズ・デイヴィス1964年のNYフィルハーモニック・ホール公演(『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』『”フォー”・アンド・モア』)を意識したものなんじゃないかという気がします。

 

といってもなんとなくそう感じるだけで、確たる根拠みたいなものはかなり薄いんですけれども、ハービーを中心にしたリズム・セクションにトランペットとテナー・サックスという二管編成。ロイをマイルズに見立て、トレインは1960年に独立していますけどブレッカーがその役目で、もしトレインが卒業せずそのままマイルズ・バンドにいたならばどうなった?というようなライヴ・アルバムじゃないでしょうか。

 

そのマイケル・ブレッカーが『ディレクションズ・イン・ミュージック』の主役だろうというのが、今回聴きなおしてみてのぼくの印象です。以前から書いていますが、ぼくは長年ブレッカーのサックスをあまり買っていなかったんで、でも最近印象が変わりつつあります。かなりいい、特にテナーはいい、偉大なサックス奏者だったんじゃないかと思うようになりました。

 

『ディレクションズ・イン・ミュージック』では、特にトレイン関連の曲でブレッカーの爆発ぶりが目立ちます。3曲目「ソー・ワット/インプレッションズ」、5「ナイーマ」、6「トランジション」など。特に「インプレッションズ」での大活躍には目を見張りますね。ロイもがんばっていますけど、こりゃ主役はブレッカーでしょう。激情的で熱いテナー・ソロに感動します。

 

また「ナイーマ」は終始アド・リブ・ソロで進行し、あのテーマ・メロディは断片すらも出てこないという内容。しかもこれ、無伴奏サックス独奏なんですよねえ。いやあ、すごい。こんなすばらしいテナー・サックス奏者だったなんてねえ、マイケル・ブレッカー、見なおしました、というかはじめて好きになりました。無伴奏サックス独奏をここまで聴かせられる奏者なんて、そうはいません。

 

「D トレイン」もそうだし、このライヴ・アルバム、リーダーがハービーだったとはいえ、できあがったものの主役は完全にブレッカーであるということです。仮想1960年代中期トレイン+マイルズ・コンボのライヴみたいな設定で激走するブレッカーの大活躍ぶりに降参しました。

 

(written 2021.3.24)

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