« メンドくさいけど、リズム&ブルーズとR&Bは違うのだ | トップページ | むしろシティ・スタイルが得意だったジョニー・シャインズ 〜 1973年ライヴ »

2021/07/22

堂々たるバラード歌唱とR&Bテイストが最高 〜 マライア・キャリー『バタフライ』

71vu4quhjl_ac_sx522_

(3 min read)

 

Mariah Carey / Butterfly

https://open.spotify.com/album/7aDBFWp72Pz4NZEtVBANi9?si=ZkJPVnYDSd-GOsNQLkB0Dw

 

きのうマライア・キャリーの写真を使って本文でも言及したら、ちょっと聴きなおしたくなってちょこっとSpotifyであさっていました。特に1997年の『バタフライ』。これ、CD買って聴いた発売当時はそんな強い印象なかったんですけど、今回聴いてみたらかなりいいですねえ。傑作でしょう。

 

日本語版ウィキペディアの情報によれば、このアルバムは多くのラッパーを起用してR&B、ヒップ・ホップ系に大きくシフトしたものらしく、なかでも1曲目の「ハニー」が当時の音楽界に衝撃を走らせ、マライアによるこの曲の発表によってポップスなどからR&Bやヒップ・ホップなどがアメリカでは全盛期を迎えることになった、ということなんだそうです。

 

たしかに「ハニー」のサウンドやトラック・メイクは、ポップ・フィールドにいる歌手のものとしては当時大胆だったかもしれません。サンプリングも使いながらループでつくったビート、ラップやスクラッチも挿入されているし、ブラック・ミュージックの手法を活用した一曲だったといえましょう。

 

アルバム『バタフライ』は、こんな傾向のコンテンポラリーR&B仕様なサウンドと、以前からのお得意路線だった歌い上げ系バラードとの二本立てで構成されていると言っていいでしょうね。「ハニー」に続く2「バタフライ」も3「マイ・オール」も6「フォース・オヴ・ジュライ」もしっとりバラード。でもビート・メイクだけはいかにも同時代的です。

 

4「ザ・ルーフ(バック・イン・タイム)」、6「ブレイクダウン」、7「ベイビードール」が、やはりデジタルなビート・メイクが目立つコンテンポラリーR&B調で、マライアのヴォーカルも、全盛期だった1990年代初期に比べやや落ち着いてきているというか、低くたなびくささやき系みたいなフィーリングに移行しつつあるのが特徴ですね。

 

しかしこのアルバムの白眉は、堂々たる歌い上げでもって聴き手をパワーでねじふせるような9曲目「ウェンネヴァー・ユー・コール」。こういったバラードにおけるゴスペル・スタイルな歌唱力は、もちろんデビュー期からのマライア最大の長所であったわけですが、ここでもまったく不変です。まさに力業というべきか、うむを言わさぬ説得力がヴォーカル・トーンやフレイジングにありますよね。今回ぼくはこの一曲だけで降参してしまいました。

 

アルバムではその後、プリンスのカヴァー(『パープル・レイン』1984)である11曲目「ザ・ビューティフル・ワンズ」もすばらしい。プリンス・オリジナルはまだコンテンポラリーR&Bが姿かたちを整えていなかった時代に発表された曲ですが、ここでのマライアは完璧なるR&Bマナーでのサウンドやビート・メイク、ヴォーカル・スタイルで、新しい一曲に生まれ変わらせています。

 

(written 2021.5.19)

« メンドくさいけど、リズム&ブルーズとR&Bは違うのだ | トップページ | むしろシティ・スタイルが得意だったジョニー・シャインズ 〜 1973年ライヴ »

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« メンドくさいけど、リズム&ブルーズとR&Bは違うのだ | トップページ | むしろシティ・スタイルが得意だったジョニー・シャインズ 〜 1973年ライヴ »

フォト
2021年9月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
無料ブログはココログ