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2021/08/09

LA発近作二つがなかなかいい 〜 ジャクスン・ブラウン&ロス・ロボス

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(6 min read)

 

Jackson Browne / Downhill From Everywhere

https://open.spotify.com/album/0aN2WQEv8kxv49tNolsP0Q?si=4Muyt4cTRHmNJllGCcKvJw&dl_branch=1

 

Los Lobos / Native Sons

https://open.spotify.com/album/2AH53pDM2S1jAggLLAueAM?si=fz42fn7TR5KjD9NV3QHVqA&dl_branch=1

 

どっちも七月にリリースされた二作、ジャクスン・ブラウンの『ダウンヒル・フロム・エヴリウェア』(2021/7/23)とロス・ロボスの『ネイティヴ・サンズ』(2021/7/30)。リリース時期が近接していたということと、二者ともロス・アンジェルスの音楽家であるということで、なんだか共通するものを感じてしまいます。

 

リリース時期が近かったというのはもちろんたんなる偶然でしょうけど、どっちもLAの音楽家であることには意味があると思うんですよね。それに二作ともかなり充実していて、かなり評判もいいみたいですよね。両者ともLA発ということで、まとめて一つの記事のなかに並べてみようと思いました。

 

ジャクスン・ブラウンの『ダウンヒル・フロム・エヴリウェア』。なかなかにシリアスな作品で、歌詞をじっくり聴き込むとポリティカルな色彩感が強いアルバムなんだなとわかります。近年のジャクスンがこうした姿勢を示していることは周知のとおりで、今作でも政治や環境問題など歌っています。

 

がしかし、そこは英語が母語じゃないぼくのこと。歌詞の中身だけを抜き出して音楽を聴かないというポリシーも徹底していますから、やはりリズムやサウンドなどに耳が行きます。すると、おだやかであたたかいメロディとしなやかなバンド・サウンドがすばらしいなと思うんですね。

 

特に、エモーショナルになりすぎない適度な感情表現というか、おだやかさが目立つなと思うんですね。ジャクスンらしいところなんですが、70歳を超えてまろやかさにいっそう円熟がかかってきたということかもしれません。

 

そうはいっても、歌詞はもちろんなかなかシャープで辛辣ですけど、そんな歌詞をこういった丸みのあるサウンドでくるんであるのが音楽の勝利だと思うんですよね。+ところどころラテンというかスパニッシュなアプローチが聴けるのは、いかにもLA発らしいところ。ヒスパニックの街ですからね。

 

たとえばスペイン語で歌われる7曲目「ザ・ドリーマー」は、ロス・ロボスのデイヴィッド・イダルゴとの共作。音楽的にもテックス・メックス風味炸裂で、かなり楽しいですよね。でもこれ、歌詞はめっちゃ政治的なんですよ。日本語しかわからないぼくがぼ〜っと聴いていると、ただの愉快な音楽だと思ってしまいます。

 

でもそれでいいんじゃないかっていうのが本音でもありますね。文学作品を読んでいるんじゃないんですからね、音楽を聴いているんですから。それにしても、ロス・アンジェルス出身の音楽家だとはいえ、ここまでスパニッシュというかラテン風味を打ち出したジャクスン・ブラウンはめずらしいのでは?

 

いっぽうロス・ロボスの『ネイティヴ・サンズ』にはそんな歌詞面でのシリアスさ、ポリティカルな姿勢はありません。こっちはタイトル曲を除き全曲カヴァーによるアルバム。しかもどれもLAにゆかりのある音楽家や曲をカヴァーしているっていう、一種のLAトリビュートみたいな作品なんです。

 

肩肘張らないナチュラルなムードが気持ちいいロス・ロボスの『ネイティヴ・サンズ』、1曲目からスムースな音像が全開。アルバムでカヴァーしているのは、ジー・ミッドナイターズ、バッファロー・スプリングフィールド、ラロ・ゲレロ、そしてジャクスン・ブラウン、さらにパーシー・メイフィールド、ウィリー・ボボ、ビーチ・ボーイズ、ウォー、ブラスターズなどなど。

 

いずれもLAに縁のある音楽家ばかりで、たぶんロス・ロボスのメンバーがイーストLAで青春時代を過ごしていたころ聴いて親しんでいたであろう曲たちなんでしょうねえ。だから、連中なりの郷愁だったり、土地への敬愛とかオマージュとか、でも、ここぞの局面では真っ向から自我を主張するみたいな、なんとも理想的なカヴァー・アルバムに仕上がっていますよ。

 

チカーノ・ロックあり、ブラウン・アイド・ソウルあり、フォーク・ロックあり、ルンバあり、ボレロあり、ローレル・キャニオンものあり、ジャンプ・ブルースあり、ラテン・ジャズあり、ラテン・ロックあり、パンクあり、エレキ・インストありで、こうした雑多なごった煮がLAならでは。ロス・ロボスはそれらを丸ごとぜんぶ飲み込んで消化して、自分たちの音楽として表現しています。

 

(written 2021.8.8)

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