リビングルームでくつろいでいるような 〜 ケイト・テイラー
(3 min read)
Kate Taylor / Why Wait!
https://open.spotify.com/album/4ghsj9ArrTMKssU0uIiHmA?si=1_6kuHv1Sq6xQsoSFKz-YA&dl_branch=1
萩原健太さんの紹介で知りました。
https://kenta45rpm.com/2021/08/16/why-wait-kate-taylor/
ケイト・テイラーは、かのジェイムズ・テイラーの妹だということで、しかも1971年にデビューしているようですから、もうベテランですよねえ。ちっとも知らなかった…。この一家、JTしか聴いてこなかったなぁ。
新作『ワイ・ウェイト!』(2021)でぼくははじめてこのケイトの歌に触れたわけです。デビューからちょうど50周年、クラウド・ファウンディングで資金集めして製作されたものだそうですよ。
ケイトのばあい、このニュー・アルバムもカヴァー中心。自身の書いた新曲はアルバムの全14曲中ニ曲だけなんですよね。個人的にはこの塩梅がケイト入門にちょうどよかったです。曲がおなじみのものだと、歌手の特徴や持ち味、音楽性がわかりやすいですからね。
いきなりビートルズの「グッド・デイ・サンシャイン」で幕開け。曲がもともといいし、それをケイトはチャーミングかつていねいに、そしてさっぱりした感じで歌いこなしています。ちょっぴりのカントリー色もあるのがこの歌手のテイストなんでしょうね。
カントリーといえばですね、続く2曲目「ワイ・ウェイト!」もそうだし7曲目「アイ・ガット・ア・メッセージ」というこれらニ曲だけあるケイトの自作曲はカントリー・ゴスペル楽曲です。だから、そういうのがこの歌手の特色なんでしょう。
そういったところ、カヴァー・ソングの数々でも存分に発揮されていて、それ+若干のジャジーなフィーリングでアット・ホームにくつろいでいるような心地を味わえるのが、このアルバムの良点でしょう。決してよそゆきじゃないっていうか、虚勢みたいなものをまったく感じないのもケイトの歌のポイントです。
4曲目、タジ・マハールの「シー・コート・ザ・ケイティ」(例によってヒーにしているけど)なんかで聴ける若干のラテンふうなリズムもいい味ですし、6曲目、兄ジェイムズの「アイ・ウィル・フォロー」での素朴な味わいも極上。
9曲目「ザ・グローリー・オヴ・ラヴ」はスタンダード・ナンバーで、ここでケイトとデュエットしている男声歌手はだれなんでしょうか。これもほっこり和めるリビング・ルームのロッキン・チェアでゆっくりしているような感触で、いいですよねえ。
そして10曲目、リトル・フィートの「ロング・ディスタンス・ラヴ」。これが個人的にはこのアルバムでいちばんのお気に入り。そもそも大好きな曲だし、フィートにあった西海岸カントリー・ロックなフィーリングをケイトはうまくポップに消化して、しっとりと味わい深く歌うのが沁みます。
(written 2021.9.7)
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