ギリシア以外ではありえない歌ごころ 〜 ヴァシリス・フローロス
(2 min read)
Vassilis Floros / Stis Ohthes Tis Avgis
https://open.spotify.com/album/0oxvaaG875UhgnTm589VKy?si=d4n-YmNlTLCDAdSVhigJew&dl_branch=1
いいジャケットですよねえ。魅力的です。だから例によって美ジャケに弱いぼくはそれだけでちょっと聴いてみようと思ったギリシアの若手シンガー・ソングライター、ヴァシリス・フローロスのアルバム『Stis Ohthes Tis Avgis』。Spotifyでは2015となっていますが、エル・スールのHPでは2011との記載。
曲はどれもヴァシリスの書いたものなんですかね、歌はヴァシリスも歌いますが、ゲスト参加歌手のほうが目立ちます。特にいちばんたくさん参加しているヨルゴス・ダラーラス。次いでアナトーリ・マリヨーラ。そのほかディミトリス・ミスタキディス、ディミトリス・ゼルヴダキスもちょっとだけ参加。こういった歌手たちの歌を活かすようにアルバムはつくられているなといった印象です。
楽器編成はほぼオール・アクースティックで、ギター、バグラマー、ブズーキ、リラ、ベースといった弦アンサンブルにくわえ、簡単な打楽器(ドラム・セットのこともあり)が伴奏をつけるといった具合。たまにトランペットも入りますが、電気・電子楽器はたぶんまったくなしだと思います。
そんな地味で滋味深いアクースティックなサウンドで、音楽的にはですね、シンプルでトラディショナル、そしてアーティスティックなムードも漂うレベーティカ/ライカが並んでいるという、そんなアルバムですね。しっとりした、落ち着いた瞑想的なムード。夜、部屋の照明を落とし仄暗い雰囲気のなかで、やや小さめの音量で流すと、実にピッタリくるっていう、そんな音楽でしょうね。
傑作でもないし、特別どうってこともないアルバムではあるんですが、ジャケットのこのムードとあわせ、一種独特のクセになるうまみを持っているものだなあと思います。そして、間違いなくギリシアからしか生まれ出てこなかった音楽でもありますね。
(written 2021.6.12)
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