生きる喜びを表現する躍動感 〜 ジョナサン・ブレイク
(3 min read)
Johnathan Blake / Homeward Bound
https://open.spotify.com/album/567r4Wqu7u5g1G7Jj3qpBj?si=Xly7gihLTiy8_xjAoHFY1Q
これもジャケ惚れです。アメリカ人ジャズ・ドラマー、ジョナサン・ブレイクの最新作『ホームワード・バウンド』(2021)。つい数日前にリリースされたばかりで、CDは12月3日の発売予定だそうです。サブスクでは一足先に聴けるようになりました。
ブルー・ノートからの第一作で、会社は力を入れているというか、数ヶ月前からソーシャル・メディアで「出すぞ、出すぞ」とどんどん宣伝していて、ちょっとづつ聴けるようにしたりなど、ずいぶん期待値を高めていましたねえ。
そんな先行配信曲を耳にして、こりゃあいいぞ!と喜んでいたんで、アルバム・リリースが待ち遠しかったという次第。ぼく好みの大活躍中の二名、ジョエル・ロス(ヴァイブラフォン)とイマニュエル・ウィルキンス(アルト・サックス)が参加しているというのもうれしいところ。
ほかはダビ・ビレージェス(キューバ)のピアノ+デズロン・ダグラスのベースというクインテット編成。
1曲目のドラムス・ソロはプレリュードにすぎず。2曲目のアルバム・タイトル・ナンバーから本編ですが、そこからしてすでにジョエルとイマニュエルのなめらかだけど艶やかで熱情的なソロの応酬が聴きもの。
これにかぎらずジョナサンのコンポジションやリフ・アレンジはリズム・パターンの躍動感に特徴があって、インプロ・ソロ部分と一体化しながら全体を生きもののようにイキイキとうごめかせているのがいいですね。
音楽としては先鋭的な現代ジャズっていう感じでもなくて、むしろトラディショナルなモダン・ジャズの延長線上にあるものだなという印象ですが、みずみずしさにあふれているのがいいですね。特に(くどいようですが)ジョエルとイマニュエル二名の音色を聴いているだけで2021年の香りがします。
アルバムでは、特に2曲目「ホームワード・バウンド」、7「LLL」、8「ステッピン・アウト」の三つが個人的クライマックス。特にジョナサンがキューバン/ラテンな細分化されたビート感を表現する8曲目ですかね、ほんとうに気に入っています。
そこではイマニュエルのアルトもいつになくスピリチュアルでパッショネイトな趣きで、(楽器はちょっと違うけど)まるでジョン・コルトレインみたいだし、そのソロの背後でのジョナサンはじめバンドの躍動感は、まるでBLM運動以後のアメリカ黒人の意識のたかまりと生の喜びを表現しているかのようです。
(written 2021.11.4)
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