現代ロンドン・ジャズの最先鋭 〜 ヌビヤン・ツイスト
(4 min read)
Nubiyan Twist / Freedom Fables
https://open.spotify.com/album/3HDaoy8TYaaLfKPKSVcsOq?si=GMVcZRKKSuKCaQMktD7SxA&dl_branch=1
現代ロンドン・ アフロ・ジャズの最先鋭、ヌビヤン・ツイストの2021年新作『フリーダム・フェイブルズ』は、フィジカルが入荷してもしばらくのあいだサブスクで聴けるようにならず、待たされてちょっとイライラした期間があったというのも事実。
それでチェッ!とか思っているあいだに時が過ぎて、Spotifyで聴けるようになってもなんとなくダラダラ時間が経過しちゃっていて、とりあげて書くのがいまごろ(七月)になっちゃいました。やっぱりリリース時にパッとすぐ聴けるようにするっていうタイミングって大事ですよ。
ともあれ『フリーダム・フェイブルズ』、1曲目は威勢のいい掛け声ではじまるわりには特にどうってことはなく。カッコよくなるのは2曲目「Tittle Tattle」からです。これは疾走感満点の弾丸のようなアフロ・ジャズで、炸裂するアフロビートに重低音ベースとパワフルなヴォーカルが絡むブロークンビーツを聴かせています。
このアルバムは一曲ごとにゲスト・ヴォーカリストを迎えているのも特色で、2曲目でのゲストはCHERISE。知らないひとですが、アルバム中最も多い三曲で参加。続く3曲目「Ma Wonka」はフェラ・クティふうのアフロビート・ナンバーで、トニー・アレンが叩いたら似合いそう。ヌビヤン・ツイストは前作でトニーと共演していますから、その成果が出たということかもしれません。
4曲目はソウェト・キンチを迎えたしなやかなグルーヴが印象的なネオ・ソウル・フィールな「Buckle Up」。これもいいですね。ソウェトはサックスも吹きますが、ラップも披露しています。曲のビートにはヒップ・ホップ感覚もありますね。
5曲目「Keeper」がアルバム中ぼくのいちばんのお気に入り。なぜならこれはラテン・ミュージック、つまり中南米的なというかスパニッシュ・スケールを用いたナンバーだからですね。その意味ではややチック・コリアふうとも言えます。ヌビヤン・ツイストでチックを持ち出すのはぼくだけ?かもしれませんが、でもこのピアノなんかねえ。かなり(従来的な意味で)ジャジーな一曲です。ここでもヴォーカルはCHERISEだなあ。
西アフリカン・ジャズな6曲目を経て、7曲目「Flow」もまたCHERISEのヴォーカルをフィーチャーしたもの。ソウルフルなヴォーカルがしなやかにグルーヴする一曲で、この歌手、声がいいですねえ。はじめて聴きましたが、名前を憶えておきましょう。エゴ・エラ・メイをフィーチャーした8曲目は、注目されているようですが個人的にはイマイチ。
それよりアルバム・ラスト9曲目「Wipe Away Tears」の疾走するグルーヴが心地いいですね。なんたってビートがカッコいい。エレキ・ギター・オブリもホーン・アンサンブルもキマっているし、ニック・リチャーズのヴォーカルも最高。これ、アルバム中、5曲目の「Keeper」と並ぶ個人的お気に入りです。
(written 2021.7.13)
« 宝石の声 〜 キャサリン・プリディ | トップページ | 演歌第七世代と岩佐美咲 »
「ジャズ」カテゴリの記事
- あの時代のアメリカと都会的洗練 〜 リー・ワイリー(2022.08.11)
- ひたすら楽しいマヌーシュ・スウィング 〜 ジャズ・シガーノ・キンテート&ヤマンドゥ・コスタ(2022.08.02)
- 南ア・ジャズの時代?〜 マルコム・ジヤネ(2022.07.29)
- 完成度の高いアフロ・カリビアン・ジャズ 〜 マリオ・カノージュ、ミシェル・ゼニーノ(2022.07.28)
- 情熱的に、さわやかに 〜 リンダ・シカカネ(2022.07.21)
コメント