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2021/11/04

ラテンのエロスとデリカシー 〜 ヤマンドゥ・コスタ&グート・ヴィルチ

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(4 min read)

 

Yamandu Costa, Guto Wirtti / Caballeros
https://open.spotify.com/album/3fqIysSKJMaqenPVtkO7Tn?si=5IuS7Xg6QbyOkxBvjtmYug

 

ヤマンドゥ・コスタ、それでようやくこないだ10月末ごろリリースだった最新作のほうについて書くことができます。こっちは同じブラジル人で旧友のベーシスト、グート・ヴィルチとのデュオ作で、『Caballeros』(2021)。

 

そうそう、以前も言いましたが、グートの弾くベースとはアップライト型のコントラバスじゃなくて(それもたまに使うみたいだけど)、横にして膝に乗せて弾くギター形状の四弦アクースティック・ベース。

 

+いつものとおりヤマンドゥの七弦ギターで、このデュオでやる音楽なら2014年の前作『Bailongo』が傑作だったわけですが、今回の新作もまったく劣らないすばらしい内容で、ぼくはたいへん気に入っています。

 

まずなんたって1トラック目。これだけでぼくはキュン死しましたね。二つのラテン名曲「ソラメンテ・ウナ・ベス」(アグスティン・ラーラ)と「キサス、キサス、キサス」(オズバルド・ファレス)のメドレーなんですが、最初そうとは気づかないくらい移行がスムース。

 

あまりにも美しく、これぞラテン音楽のエロスとデリカシーと言いたいくらいなエレガントな演奏ぶりで、心が完全に溶けちゃった。なんてひそやかでなんて繊細なんでしょう。そう、このアルバムはラテン・ミュージック集なんだとぼくはとらえています。

 

曲じたいにスペイン語圏ラテン・アメリカのものは1トラック目のメドレーしかなく、ほかはアリ・バローゾ(ブラジル)、トニー・ムレーナ(イタリア)、ヌリット・ハーシュ(イスラエル)などなど、クラシック界をふくむ世界中のコンポジションをとりあげ、それにヤマンドゥの自作をくわえたという構成。

 

ですが、ヤマンドゥとグートによる解釈と演奏ぶりは、どこからどう聴いてもラテン・ミュージックのそれですね。それを1トラック目のメドレーが出だしで象徴しているのだと言えましょう。そっと優しくデリケートなソフト・タッチで、まるでセックスのときの愛撫のように、音をつづっていくギターとベースのエレガンスにとろけてしまいそうですよ。

 

グートは2014年作に続き今回もほぼ脇役に徹していて、ヤマンドゥの七弦ギターのうまさがきわだつ内容となっていますが、それだってもはやすっかり円熟し、超絶技巧からこれみよがしなところが消え、優雅でラテンな楽想のなかでさらりと見せ場をつくるようになっているのがたいへんすばらしいですね。

 

曲そのものの持つメロディの繊細さや情緒や官能を、どこまでもおだやかに、それじたいをストレート&ナチュラルに、ギターで表現していくさまには、ほんとうにため息が出ます。音のヴォリューム、ピッキング・タッチの違いによる音色の繊細な使い分け、隠微なニュアンス付けなど、自在な表現を聴かせるヤマンドゥ、いま七弦ギターの世界でこのひとに並ぶ存在はいないのだなあと実感させてくれます。

 

そんな絶品のラテン・ミュージック集ですよ。

 

(written 2021.11.3)

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