リボンの騎士
(7 min read)
写真のようにきのうネイルをやってきましたが(ぼくがやってもらったのはマニキュアじゃなくてジェル・ネイル)、はじめてでした。近場でここがいいなと最初に見つけたネイル・サロンには「男性だから」という理由だけで断られ気分がだいぶ沈みましたけど、施術してくれるお店が見つかって、ほんとうによかった。
こういったことは、59歳というぼくの世代と松山という地方都市に住んでいるという二点を考えあわせると、男性向きじゃないとされることが多いです。それでも髪の毛のことなんかは美容室に行く男性もいまやかなりいると思いますが、ネイルはまだまだでしょう。
そういうのって、つまるところステレオタイプな固定観念で、ジェンダー偏見だと思うんですよね。男性はこう、女性はこう、と決めつけないでほしいなと心から思います。髪とか肌とか唇とか爪とか服装とか、きれいに整えるのがぼくは好きです、むかしから。男性のなかにだってそこそこいるでしょ。
そういえば思い出しましたが、ぼくがはじめて自分用の口紅を買ったのは1988年に就職して間もなくの26歳のころ。なにに使おうというわけでもなく、なんとなくほしくなっただけで、塗って鏡見れば楽しいかなと思ったんですよね。
それで、買ってきたリップをひきだしにふだん入れていたんですけど、のちに結婚することになるパートナーと当時すでにつきあっていました。ぼくの留守時に彼女がそれを見つけて、なぜだか大激怒。しばらく口きいてもらえなかったということもありました。
いまでこそリップやネイルをおしゃれにしたり、ヘア・ケア、スキン・ケアに気を遣うのが「美容男子」と言われちょっとした流行っぽくなっているかもしれませんが、あのころ1980年代、そんなことしているのはクロスドレッサーとかMtFのトランスとかだけでしたから、ぼくもそうなのかとパートナーは思ったらしいです。
パートナーはぼくと同世代にして自由で進歩的な考えかた、発想の持ち主だったんですけど、この手のことだけはあまりピンと来なかったのかもしれません。ぼくはべつに女装したかったわけじゃなく、リップを塗れば気分がいいはず、ストレス解消できるはずと思っただけでした。
ネイルの話でいえば、仕事上の実用目的なら男性でも古くから野球選手やギターリストはやりますよね。野球、特にピッチャーは爪が割れたりしますし、ギターリストも自爪でピッキングするスタイルなら同様。爪を補強するついでにワン・カラー塗るということがあったかも。
ぼくのばあいは爪の補強にもなるけれどもルックスの快適さを追求しているだけです。それで、ネイルとかリップとかその他美容関係で、世間一般の従来型のというか旧弊な男女観、ジェンダー偏見に沿っていえば、いわゆる「女性」に分類されることをするのがぼくは大好きです。
美容関係だけじゃなく、料理や家事一般もほんとうに好きで得意でもあるっていう。でも家事のことはですね、以前料理関係でも言ったようにそれを仕事にしているプロには男性もかなり多いので、性別は関係ないんですけどね。
なんというか、どんなことでも世間、コミュニティが押し付けてきたステレオタイプに囚われるのが極度に嫌いな性分ですから、ぼくは、だからジェンダー的なことでもそれでやっています。ヴァレンタイン・デイにはみずからチョコレートを買って仲良しの女性や男性のお友だちに送っています。
正直に告白すると、セックスのときなんかでもどっちかというと下になって受け身でいるほうが感じる人間なので、だから男性とするときはウケ(ネコ)にまわることが多いです。それをもって「女性の役割」と言うのもちょっと違うような気がしますけどね。
それでも女性のようになりたい、フェミニンな感じにしたいみたいな願望が内心あるのかもしれませんね。性自認にまったく揺らぎがないただのオッサンなのに、これはいったいなんでしょうか。変身願望?たんなるヘンタイ性欲の発露?
美容室とかネイル・サロンとか、女子トイレ(には入らないけど)とか、一般的な女性は男性が支配するこの社会から一時的に脱出するための息抜き的な、シス女性だけの「避難所」と考えているかもしれず、ぼくみたいな存在はヤッカイなだけかもしれませんけど。
でもでも、ただのオッサンでもリップやネイルなどをきれいに整えるといい気分だ、ウキウキ楽しい、うつでイヤなフィーリングが消えてしまうというのはたしかなこと。わかってくれる女性も多いし、男性でも進歩的な現代感覚のあるひとには共感されます。
とにかく、性別関係なくだれでも一度試しにチャレンジしてみればいいんですよ、そうすれば、なぜそんなことをするのか?気持ちが理解できると思いますよ。やってみなきゃ、わかんないでしょ。外野からヤイヤイ言うより、まず体験です。
それに歌手とか演奏家、音楽関係者など芸の世界では、むかしから性別をクロスしているひとは多いし、熱心な音楽愛好家であるぼくも長年そんな世界に触れ続けて、その結果似たような発想が染みついたのだとも言えるかもしれません。
そもそも、妊娠出産を除き世のなかのたいがいのことは性別関係ないんですからね。
(written 2021.12.2)
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