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2022/01/23

「写メ」って?

Kerkab1 Kerkab2

(6 min read)

 

「写メ」ということばがいまだ使われることがあって、わりとよく見聞きしますが、これってよく考えたらもうおかしいですよねえ。写メールの略で、それはもうなくなったJ-PHONEのサービスだったんですから。2000年ごろから10年くらいのあいだでしたか。

 

もっとも、携帯電話にカメラ機能をつけて、撮ったものをそのままパッとメールで送れるようにするというサービスは、J-PHONE(ソフトバンク)のが爆発的大人気になったがゆえ、ドコモなど他社も速攻で追随し、さながら写メ文化が花ざかりという時代もあったらしいです。

 

その後の(2010年前後ごろからの)スマートフォンの登場と普及でもカメラ機能の搭載は必須となり、撮ったものをパッと送ったりネットに上げたりするのはみんなのあたりまえになりましたから、そんな文化のルーツは、というとたしかにJ-PHONEの写メールにあったのかもですが。

 

この「写メ」ということばにぼくが違和感を抱くのは、その全盛期をまったく知らずに素通りしたからです。ことばの成り立ちや意味は理解できるものの、いまや写真撮ってもメール添付しないだろうと。Instagramなどソーシャル・メディアにアップするんでしょと。

 

だれもメールで送らないんだから、写「メ」じゃないだろうと、そう思うわけです。

 

カメラがついているスマホを一人一台持っている時代になり、各種ソーシャル・メディアだってどれか一個はだれもが登録しています。ぼくはちょうどそんな時代になってだいぶ経った2017年6月にはじめてスマホを買ったんですから、「写メ」時代を知らないので、このことばに実感がないのもムリはありません。

 

といってもですね、いま自分のPhotosアプリに存在する一番古い写真は、なんと2007年3月2日撮影とのタイム・スタンプがついているんです。それが上で掲げたカルカベ(グナーワなどで使われる鉄製カスタネット)の写真二枚。そう、これ撮ったなあ。東京在住時代。はっきり憶えています。

 

グナーワ・ミュージックなどで聴くカルカベの音が好きでたまらないぼくは、自分でも鳴らしたいと思い、ネットでさがして通販で買ったんですよね。カルカベは両手に一個づつ持って鳴らすのだからペアです。

 

そしてちょうどそのころ、パートナーの強い要請によりぼくはカメラつきガラケーを持たされていたんです。くわしい経緯は省略しますが、ぜんぜん使わず携帯もせず、でかけるときも自室のテーブル脇に置きっぱなしでしたから、パートナーにほどなく解約してくるからと言われましたけども。

 

だから持っていたのはほんの短いあいだでしたが、そのあいだにカルカベを買い、これは撮っておきたいと思ったか、あるいはおそらく(のちのちなにかに使いたいとか考えて)パソコン内にファイルとして残しておきたかったんじゃないでしょうか。

 

いまやスマホ ⇄ パソコン ⇄ タブレット間はクラウドでファイルを同期できますので、同一Wi-Fi下であれば、スマホで撮った写真はなにもせずともそのままパソコンのPhotosアプリに入ります(ええ時代になったもんや)。

 

しかし2007年ごろはまだそんなことにはなっていなかったので、ガラケーで撮った二枚のカルカベ写真をパソコンに入れたいと思ったぼくは、メールに添付してMacで使っていた自分のアドレス宛てに送ったんですよね。いま考えたら、なんというメンドくささ。

 

その後Macは何台も買い替えましたが、カルカベ写真は引き継いで現在まで残っているという。いまやiPhoneで毎日大量に撮影するのがあたりまえの日常になりましたけども、2007年のこの二枚のカルカベ写真こそ、ぼくが携帯機器で写真を撮ったはじめてでした。

 

そして、それを(他人にではなく)自分のパソコン宛てにメールに添付して送ったんですから、写メだったといえるのかもしれないですね。う〜ん…。いずれにせよ2007年のガラケーですから、画質が悪いですよねえ。

 

写メということば、いまや10代の中高生には通じないし使われてもいないものだそう。そりゃあそうだよねえと思います。スマホでパッと撮ったものはソーシャル・メディアで共有するという文化ができてから生まれ育った世代なんですから。だいたいメールというシステムだって(ビジネス用途以外では)もう使われていないでしょう。

 

それを踏まえると、カルカベの写真を撮った2007年ごろイヤイヤ携帯を持たされて、どんな用途にもほとんど使わなかったけど、そのころが名実ともに写メ文化の最盛期でした。

 

ぼくはそれを知らないままずっと時間が経って、2017年になってはじめてiPhoneを、今度は自分の意志で進んで買って使いまくるようになったそのころにはとっくにSNS文化が定着していたがため、スマホで写真を撮るのを「写メ」と呼ぶのに強い違和感があるっていう。

 

もちろん、ことばって指し示す対象の事物がなくなっても生き続けるものですけどね。

 

(written 2022.1.22)

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