ゴスペル仕込みの迫力とリアリティ 〜 ドリー・ライルズ
(2 min read)
Dorrey Lyles / My Realized Dream
https://open.spotify.com/album/4MBERL7Yw4DZV87TCrV9fc?si=Cqs9euJ_S_mDysqdNR96RQ
Astralさんのブログで知りました。
https://astral-clave.blog.ss-blog.jp/2021-04-29
ドリー・ライルズはそれなりにキャリアのあるソウル歌手みたいですが、なんでもこの『マイ・リアライズド・ドリーム』(2020)がデビュー・アルバムだそう。聴いてみたらたしかにキャリアを重ねてきたのは間違いないと思える重厚さや安心感がありますね。
ドリーは決して現代R&Bとかのひとではなく、どこまでもヴィンテージなソウル・ミュージックの歌手だと、このアルバムを聴いているとわかりますが、そんな歌手たちの御多分に洩れずやはりゴスペル界出身だそう。
ハーレム・ゴスペル・シンガーズのメンバーとして歌のスキルを磨いてきた叩き上げの実力派ということで、アルバムでもその持ち味を存分に発揮する圧巻の声量と歌いっぷりでリスナーを組み伏せるといったスタイルですね。
クール・ミリオンのロブ・ハードがバックアップしていて、多くの曲をプロデュースしています。たしかにそんなスムースなモダン・ソウル・テイスト満載で、リズムなんかは打ち込みだと思うんですが、全体的にラグジュアリーなムードでとてもいいですね。
個人的にことさら印象に残ったのはラスト三曲の流れ。8「キャラヴァン・オヴ・ラヴ」は堂々たるクラシック・ソウルの趣きで、ヴォーカルの説得力で聴かせる内容ですが、続く9「チャイルド・オヴ・ソウル」はアクースティック・ギターの刻みがほのかにラテン・テイストも香らせる、クラブ系っぽい一曲。アルバム中これだけはややコンテンポラリー寄りなビート感とサウンド。
ラスト10「リーン・オン・ミー」はもちろんビル・ウィザーズのカヴァーで、これがこのアルバム最大の聴きものですね。グッと重心を落としたゴスペル・バラードに仕立ててあって、ドリーのヴォーカルもキャリアを存分に活かした面目躍如。ピアノをメインに据えたシンプルでアクースティックなサウンドに乗せ、この歌詞をこういう声でこう歌われると、強いリアリティを感じざるをえません。
(written 2021.12.7)
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