昭和オヤジ系インスト・ロック 〜 ロス・マンボ・ジャンボ
(3 min read)
Los Mambo Jambo / Exotic Rendezvous
https://open.spotify.com/album/6PrrbUKDVWnf40OmiXH4wp?si=yO2mmOqKTLK3DIhN6q9jcg
いかにもなゲテモノ感満載のこのいかがわしいジャケットはどうですか。アルバム題だってどうにも...だけど、そのイメージそのまんまの音楽が聴こえてくるロス・マンボ・ジャンボの新作『エキゾティック・ランデヴー』(2021)。スペインはバルセロナのバンドみたいで、名前はたぶんこれペレス・プラードの有名曲から取ったんでしょうね。
でもマンボなどラテンな感触はほとんどなく、リズム&ブルーズとか、ロカビリーとか、ジャイヴものとか、そういうごきげんなヴィンテージ・グルーヴをマニアックに演奏して聴かせる下世話インストルメンタル・バンドなんです。
サックス、ギター、コントラバス、ドラムスの四人が基本編成で、アルバムによってはゲストがいたりビッグ・バンドでやったものもあるみたいですが、全編モノラル・ミックスのこの新作ではシンプルに四人だけで演奏しています。
B級インスト・ロック三昧というか、日本でもグループ・サウンズ全盛の1960年代あたりによく聴いたあの感じ、刑事ものとかスパイものやミステリなどのTVドラマや映画で頻繁に流れていたあんなBGMの雰囲気そのまんまなんですよね。59歳のぼくの世代なんかだと、記憶もさだかでない幼少時のぼんやりしたノスタルジーをかきたてられるサウンドです。
だからもちろん2021年の新作だからといって現代性なんかはぜんぜんなし。ポップス界における近年のいわゆるリバイバル・ブームとはなんの関係もなさそうで、ただなんとなくこういった世界が好きな連中が時代感無視で勝手にやっているお楽しみ音楽といったところでしょうね。
1960年代にまだ生まれていなかった若い世代のリスナーは、こういった音楽をどうとらえるんでしょうか。でも完璧「昭和」としか言いようのないこの世界に(デジタルではない)そこはかとない魅力を感じ接近していく若年層がけっこういるというニュースをよく見ますからねえ、郷愁ではなく新鮮な気持ちで素直に聴けるかもしれないですね。
演奏している当のロス・マンボ・ジャンボの四人だって、ひょっとしたらオヤジ世代そのものじゃなく、オッサン趣味の若年新世代で構成されているのかもしれませんし。
(written 2021.12.14)
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